【活動報告】英国Oxford大学医学生 Nigethan Sathiyalingamさんが来鴨

先月8月10日、英国Oxford大学医学生 Nigethan Sathiyalingamさんが当科を1日見学にこられました。

彼は、最終学年で、国外の選択ローテーションで日本を選び、7月〜8月にかけて亀田に数週間こられていました。Oxford大学では、全学生の9割が国外どこかでローテーション研修を行っておられるとのこと。いつもは数人のみの日本での国外ローテーション。今年はなぜか約10人ほど希望者がおられたのだそうです。どの国を選んでも明確な目的があればそこでの実習が認められるのだそうです。学生の側の学ぶ意識も相当高いのだと思いますが、その自主性を認め育てる学校側の意識の高さもさすがです。以下に、Nigethanから伺った英国医療事情と日本との比較を列記します。

  • 英国の医療制度NHSはすべての医療費を国費で賄っているため国民から絶大な信頼を得ている。
  • 医療における費用対効果の意識が高く、例えば、高額の抗がん剤など、NHSの審査で費用対効果で一定の基準未満の治療はNHSの治療として一律に実施されない
  • 以下は、良い悪いの議論ではありませんが、彼自身が感じた感想です。英国人の方が緩和ケア方針の医療を受けることをポジティブに捉える人の割合が高いように思う。体力的にぎりぎりの状態でも、緩和延命目的の抗がん治療を使用してがんと闘いたい人の割合が、日本ではとても多いように感じられたそうです。これは日本人の我慢強くストイックな気質(頑張り屋)に関係しているのではないかとの印象と持たれたようです。
  • 緩和ケア先進国の英国でも、特に、在宅における緩和ケア供給が不足しており、介護者不足も深刻であるとのこと。自宅で過ごすことが困難な場合に高齢者が入居できる集合住宅のニーズが飛躍的に高まっているとのこと。これは全く日本と同じ状況であると感じました。
  • 英国の緩和ケアコンサルタント(地域全体のアドバイザー的な働きをする)はポジション数が限られておりそのポジションを得るのは競争率が高く狭き門なのだそうです。

Nigethanは現在緩和ケアにとても関心があり、将来はどういった形か分からないけれど、緩和ケアに関わりたいと思っているとのことでした。いつか、国際学会などでまたお会いしましょう。

Nigethan, good luck with your life and medical career! Thank you for visiting us. We will visit you next time someday! Best Ryuichi Sekine, MD

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このサイトの監修者

亀田総合病院
疼痛・緩和ケア科部長 関根 龍一

【専門分野】
病状の進行した(末期に限らない)癌や癌以外のあらゆる疾患による難しい痛みのコントロール、それ以外の症状の緩和