ローテーターからの声:家庭医療科専攻医1年目溝越先生

6月に当科をローテートしていただいた溝越先生(当院家庭医療科専攻医1年目)から、当科ローテートに関して感想を頂戴しました。
非常に快活な人柄で、周りに元気を与えてくれる先生です。
いつも前向きな姿勢に、我々は日々感服していました。
将来は家庭医を目指されるとのことで、がん患者さんを診る機会も多いと思います。
今回のローテートが、今後のキャリアの一助になればと思います!

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(1)腫瘍内科ローテを選んだ理由を教えてください。
家庭医療科専攻の先輩に勧められたことがきっかけです。家庭医としてヘルスメンテナンスをする中でがん検診があったり、悪性腫瘍を疑い専門科へ紹介したり、ベストサポーティブケア(BSC)となった患者さんを外来や訪問診療で診る機会があったり、さらに患者さん自身だけでなくご家族や大切な人が悪性腫瘍を患ったり介護者として過ごしたりしていることなどから、「腫瘍内科」をローテーションして学ぶべきだと考え、選択させていただきました。

(2)研修で学びになったこと、得られたことを教えてください。
項目として挙げてみますと、「担がん患者さんの大まかな予後と生活経過」、「化学療法の副作用、特に発熱性好中球減少症、オンコロジーエマージェンシーの考え方、救急外来や病棟での対応」、「化学療法の適応の考え方」、「告知をする(breaking bad new)のではなく、悪い知らせについて話し合う(talking about serious news)場としての面談能力」などなど。。。キリがありませんね。

(3)研修で大変に感じたことはありましたか?
部長の大山先生を始め指導医3人、また後期研修の先輩方が6人、医師3年目の同期が1人おり、日々ほとんど全ての先生から「どう?」、「大丈夫? 困ってない?」、「もっと担当患者を増やしたい? やりたいことある?」など声かけをいただき、10人弱の患者さんの担当をさせていただき充実した1ヶ月でした。病棟当直は私にとって初めての1人当直で緊張しましたが、いつでも外線をかけてねと仰っていただけるバックアップの先生が1人割り当てられ、また医局に残っていた先生方が私のPHSが鳴る度に気にかけてくださり、孤独ストレスはほとんどありませんでした。当院の腫瘍内科は外来患者さんが自宅で症状が出現した際は、ほとんどすべて当科で電話対応、救急対応含めて行うので(このシステムに強く重いプライドを感じます)、突然の外線電話で自分にとって初見の患者さんの症状に対して、今すぐ救急外来を受診してもらうか、翌日の外来受診でよいか、今夜のうちに追加内服する薬剤はないか、などカルテをみながら判断していくのは緊張感がありました。また入院患者さんの悪液質の症状に対して、医師として不全感が生まれる経験も多くありました。しかし新規病変の除外や環境調整、対症療法としての薬剤調整を行なった上で、医療者のBeing能力を意識せざるを得ない貴重な経験もさせていただきました。

(4)今後の診療に役立ちそうなことはありましたか?
「対応する患者さんにがんの既往歴がある場合は治療歴を確認し、特に発症時期が読めない免疫関連有害事象(irAE)の鑑別が必要な治療歴がないか確認する」、「がん患者さんのこれまで/今後の経過を想像しながら紹介状を読む/作成する」、「がんをもつ患者さんや家族に対しての接し方、面談の仕方、コミュニケーション能力を学び続ける必要性」などの学びは特に即時活かしていきます。

(5)どのような人に当科での研修をおすすめしたいですか?
総合診療科、内科をはじめ、多くの人に一度研修をお勧めします。腫瘍病変は高齢化に伴いcommon diseaseであり、患者さんにとって「時限爆弾を持ちながら生きていく」という陰性感情に対応できる能力はどなたでも必要と考えます。
そして常に多くの方に声かけをしてもらえる存在承認を頂きつつ、バックアップが厚い亀田総合病院腫瘍内科はとても良い学びの場と思います。また私にとっては何より、腫瘍内科の先生方は総合診療科医、家庭医へ期待してくださり、カンファレンス中にもGeneralistが把握しておくべきトピックを日々取り上げて説明していただけたことが非常に嬉しくモチベーションに繋がりました。

(6)最後に、先生の今後の意気込みをどうぞ!
まだまだ学び途中ではありますが、腫瘍を持つ患者さんの症状と思いに向き合い、また患者さんを支えるご家族をはじめ、関わるスタッフ(病棟・訪問)を含めた包括的なアプローチを提供できる医師になるべく頑張ります!
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このサイトの監修者

亀田総合病院
腫瘍内科部長 大山 優

【専門分野】
がんの包括的医療、病状に応じた最善の治療の選択と実践