〜亀田総合病院での研修を終えて〜

2020年10月から2021年12月まで、1年3ヶ月間、当院の産婦人科専攻医(後期研修医)としてがんばってくれた河野智考医師に記事を書いてもらいました〜(*^_^*)
河野医師は当院の連携施設でもある旭中央病院を基幹施設とする専攻医であり、研修中の連携施設として当院を選んで頂きました。記事にある通り産婦人科だけでなく、NICUや生殖医療科(不妊治療)のローテートも通じて、当院の連携施設としての魅力を感じてもらえて本当によかったです。そして魅力だけでなく、他院から当院に研修にきた場合のデメリットについても記載してもらいました。同じ専攻医学年の人数が増えたり、減ったりするとそれによって外来コマ数や手術などの経験症例数にはどうしても差が出てしまいます(>_<)・・・ですが、河野医師はそんな環境にもめげずに、真摯に産婦人科医療に取り組むだけでなく、夜遅くまで残って学会の準備をしたり、自習したりしているところもしばしば見かけました。特に印象に残っているのは常日頃から当院の初期研修医を熱く指導してくれている姿です。初期臨床研修において産婦人科が再度必修化しましたが、多くの初期研修医が月替わりに2名以上研修すると逆に指導が不十分になることも懸念されますが、彼のようにTeaching mindをもった指導医についた初期研修医たちは、きっと満足してくれたのではないでしょうか!(^^)!

河野くん!ありがとう!!そしてこれからまた旭でより充実した研修を積み、立派な産婦人科医になってくださいね (^O^)/


『産婦人科専門研修プログラム 〜亀田総合病院での研修を終えて〜』
河野 智考

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1年以上、研修生活を共にした同期との一枚
(左:安田幸矢医師、右:河野友考医師)

現在の産婦人科研修制度では、基幹施設のプログラムに所属しながら、その施設の連携施設を複数個ローテーションすることが義務付けられています。私の基幹施設は千葉県旭市の旭中央病院ですが、その制度の一環で、2020年の10月から2021年12月までの1年3ヶ月間、連携施設である亀田総合病院に出向させて頂きました。今回、研修広報担当の松浦先生にご依頼いただき、メリット・デメリットを含め、亀田総合病院での研修を振り返ってみたいと思います。

私の感じた亀田総合病院の産婦人科研修の特徴は以下の3つです。

  • 産科、婦人科のみでなく、新生児科、生殖医療科での研修を行うことができる。
  • 若手の医師が中心となって運営を行っているため、日々の診療について上級医に相談しやすく、カンファレンスでの議論も活発である。
  • 当直明けの午後は帰ることができる等、ワークライフバランスが考慮されている。

一点目について、私は1年3ヶ月間の研修期間の中で、新生児科3ヶ月間、生殖医療科3ヶ月間をローテーションしました。新生児科のローテーション中、専攻医が主に管理するのは2500g以下ないしは1500g以下の、低出生体重児、極低出生体重児の児となります。亀田総合病院の新生児科では22週台の児も受け入れているため、体重が500-600g台の超低出生体重児も度々入院となりました。厳密な集中管理を行いつつ、医療的サポートが必要な状態の児と両親との絆をどのように築くことができるかを考え、社会的調整を行うなど多くの経験をさせて頂きました。生殖医療科では、タイミング指導、人工授精といった一般不妊外来の患者さんは全てローテ中の専攻医が受け持つことになります。責任の重さも感じると同時に、自らがタイミング指導をした患者さんが、妊娠成立した時の嬉しさはひとしおでもありました。ローテーション最終月には、一般不妊外来のみでなく、ART外来の患者さん数名も担当させていただき、体外受精の治療計画にも携わりました。

二点目について、亀田総合病院の産婦人科は10年〜10数年目の医師が運営の中心となっています。朝のカンファレンスでは、当直帯の分娩や入院症例の振り返りを一つ一つ丁寧に行います。学年が近いため相談もしやすく、フィードバックをいただくことができるため、多くの学びを得ることができました。必要時には、20年目以上の先生方もバックアップをして下さり、非常にバランスの取れた指導体制と感じました。

三点目について、当直翌日の午後は業務フリーとなり、午前中の業務を終えれば帰ることができます。他にも17時以降に発生した病棟対応、土日の入院患者対応は当直医師が行うなど、ワークライフバランスを保ちやすい環境でありました。総合周産期医療センターである亀田総合病院はハイリスク症例も多いため、業務時間中は非常に忙しくストレスがかかることもありますが、このようなシステムのおかげで十分に休息をとることができました。コロナ禍での制限はありましたが、病院のすぐ目の前が海であることから仕事終わりにサーフィンをしたり、週末には館山の温泉施設で疲れを癒したりと充実した余暇を過ごすことができました。

亀田総合病院での研修のデメリットを強いて挙げるとすれば、後期研修医やスタッフの人数が多いため、婦人科手術執刀の機会や外来コマ数はやや少なくなる可能性があるということです。しかし、これらについては、メリットの裏返しといったところで、症例が多すぎると振り返りの時間が持てず消化不良になるので、ほどよいバランスが重要だと感じました。実際、亀田総合病院では平日全日がオペ日となっているので、忙しくないという印象はありませんでした。

振り返ってみると、産婦人科はもとより、新生児科、生殖医療科でも多くのことを学ばせていただき、非常に充実した1年3ヶ月間でした。外部の病院からのローテーターである私にも、医師、助産師含むスタッフ共に分け隔てなく接してくださる働きやすい環境で、出向期間終了後も連絡を取り合うような同期の仲間とも出会うことができました。亀田総合病院の産科、婦人科、新生児科、生殖医療科の先生方、スタッフの皆さま、ありがとうございました。

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帝王切開を行う河野医師(右)と安田医師(左)

このサイトの監修者

亀田総合病院
産婦人科主任部長 大塚 伊佐夫

【専門分野】
婦人科悪性腫瘍