亀田総合病院産婦人科専門研修プログラム(後期研修)をおえて

2019年度に無事、亀田総合病院産婦人科専門研修プログラム(後期研修)を修了、2020年度はスタッフ(医員)として活躍しながら勉強に励み、無事産婦人科専門医を取得した小池由実医師(通称:小池ちゃん)は2021年4月、新たなターニングポイントを迎え、周産期専門医としてのキャリアパスを積むため聖隷浜松病院へ異動となりました!
ムードメーカーの小池ちゃんがいなくなって我々残された人間は寂しい限りですが、立派な周産期専門医として、この亀田に帰ってきてくれることを期待しています〜!!笑
(´;ω;`)ウゥゥ
そんな小池ちゃんが昨年度コロナ禍でWEBでの開催となった第2回亀田総合病院産婦人科医局説明会で発表してくれた内容がとても好評でしたので、動画付きでアップしたいと思います(*´▽`*)
後期研修先として亀田を考えてくれている人、必見です!!


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まずは自己紹介からさせて頂きます。 卒後6年目(2020年6月時点)の小池由実です。初期研修の時に亀田病院に入り、その後産婦人科の後期研修医として残り、2020年3月に無事研修終了となりました。
私からは、実際の研修生活の3年間をさらっと振り返りながらお話させていただきます。


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まず実際の私の専門研修プログラム(後期研修プログラム)がこちらです。1年目から2年目の7月までが基幹施設である亀田にいて、2年目の7月〜12月で長崎医療センター、12月から一度亀田に戻ってきて、1月〜3月までNICUローテとなりました。そして3年目の4月〜9月までの半年間が旭中央病院で研修し、3年目の10月に亀田に戻ってきました。現在(2020年6月時点)は4年目で、4月から3か月、ARTセンターをローテーション中です。亀田の研修プログラムの魅力の1つには、このNICU、ARTセンターの3か月毎のローテが後期研修中にできるとういことがあります。時期、期間としてもちょうどよく、少し違う視点から産婦人科を見直すいい機会となります。
また私が産婦人科を専攻した年から、新専門医制度に移行となり、基幹施設は2年間、残りの1年間は地域医療含めた他施設で研修を行うという制度となりました。当院では他施設研修の病院を、提携施設の病院の中から自分で選択することができるという点も魅力です。


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連携施設がこちらです。関東圏と他地域に計12か所の連携施設があり、わたしはこの2施設を選択しました。


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私の産婦人科医としてのデビューは、まずは基幹施設である亀田から始まりました。


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産婦人科の研修バランス・仕事内容についての自分なりの印象を、こんな感じの円グラフで、これから各施設ごとに表してみます。産婦人科領域の研修バランスとしては、亀田ではどの分野も専門の先生がいらっしゃり、それぞれ症例数もそろっており、満遍なく研修ができるところが魅力です。疾患としても地域の病院としてのコモンな疾患から、重症度の高いものまで診ることができ、それぞれの分野のスペシャリストがいるため、専門性の高い疾患もみることができます。
また仕事内容としては、最初の1年間はやはり病棟、手術の方がメインでしたが、1年目から産科外来は定期でもち、婦人科の初診外来など月2〜3回のペースで担当させてもらえ、外来診療にも少しずつ慣れることができました。


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こんな感じで、先輩後輩たちとの楽しい鴨川ライフPart1が始まりました。


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初めは慣れない仕事、勉強で大忙しですが、飲み会も趣味も大事ですよね??!!鴨川でも地域研修先でも、自然を満喫しました(*^-^*)


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そして亀田には、産婦人科、新生児科先生、助産師さんたちと行く、毎年恒例の病棟旅行があります。この年はなんと海外進出で台湾!みんなで安産のランタンも飛ばしてきました。


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またどこの病院でもそうだと思いますが、1年目はやはり年越し当直担当となると思います。わたしも恒例の年越し当直、部長の先生たちと、医局で鍋と年越しそばで新年を迎えました。左の写真はこの年の初日の出ですが、元旦の朝、病院の13階へみんなで行って、拝んだ日の出です。気持ち新たに、いい1年のスタートとなりました。


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2年目の夏から、7月からの半年は、長崎医療センターにお世話になりました。長崎空港から25分程度、大村市というところにあります。
市中病院で当院よりは少し病床数は少なめでしたが、中堅の先生が多く、大学病院よりの診療スタイルでした。専攻医は自分を含め4人、チーム制でした。
長崎医療センターでは2つ学会発表もさせていただき、写真は翌年2019年4月の日本産婦人科学会での発表の時のものです。
また、長崎には対馬、壱岐島、五島列島など島が多く、ジェット機に乗って、1日対馬に応援診療にいったり、島(壱岐島)からの救急要請の際には自衛隊のヘリを使用し、1人で妊婦さんを迎えに行ったりなど、1人で島へ行くというここではない貴重な体験もさせて頂きました。


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先ほどの円グラフ、長崎医療センターはこんな感じです。研修領域のバランスとしては、不妊生殖はやっておらず、ラパロも月2-3回程度と少なかったですが、総合周産期母子医療センター、婦人科がん治療センターであったため、周産期と腫瘍症例は豊富でした。また定期外来は産科婦人科ともに専攻医は担当しておらず、初診や紹介患者さんのみを時々みる形で、専攻医は病棟と手術がメインでした。
チーム制だったので、毎日朝夕チーム全員で回診を行い、手術も基本的にはチーム毎に入ります。3チームに分かれていたため、全入院患者の約1/3が割り振られるような仕組みで、平均20人前後が担当でした。
以下が長崎医療センター研修中に執刀を経験した手術件数です。
帝王切開 22件(うち緊急13件)
円錐切除 3件(LEEP?、コールドナイフ)
開腹子宮全摘 2件
腟式子宮全摘 1 件
シロッカー 2件
マクドナルド 2件
婦人科癌
 卵巣癌:ATH+BSO+Om 1件
卵巣癌:準広汎+BSO+Om 1件
 子宮体癌:ATH+BSO  1件
 虫垂偽粘液腫:ATH+BSO+Om+虫垂切除術
AUS 1件
腹腔鏡下片側付属器摘出術 2件


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長崎の先生方、専攻医の先生たちもプライベートでもお世話になり、長崎観光に連れて行ってもらったり、チーム会、女子会など、長崎のおいしいお酒と料理をたくさんいただきました。関東圏とはまた違う、九州人のおおらかさを味わいました。


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そして週末は長崎の島の1つ、五島列島の北部、上五島列島に通ってダイビングを楽しみました。鴨川でダイビングのライセンスをとってから時々潜っていましたが、上五島の海は本当にきれいで、週末はフェリーに乗って泊りで潜りに行きました。この写真のように連休だとたくさん人がいてわいわいして楽しかったり、2,3人しかいないプライベートな海の時もあったり、、なにより、島の人たちはみんな心が広くていい人が多くて、初めて行った島とは思えないくらいなついてしまいました!初めてナイトダイビングも挑戦したり、アドバンスのライセンスもとってきました。


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今まで修学旅行で1回しか訪れたことのなかった九州だったので、週末はちょこちょこ九州巡りもしました。フェリーに乗って車を持ってったり、高速バス乗り場が病院の近くにあったので、バスを利用したりしながら九州観光、九州グルメも楽しめました。宮崎以外は制覇することができました。


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2年目の病棟旅行はちょうど鹿児島だったので、休みを合わせて現地集合で参加することができました。砂風呂で埋もれたり、日本最南端までサイクリングで行ったり、久しぶりに亀田のみんなに会えてほっこりした時間でした。


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そんなこんなで九州を満喫しきったところで、2019年。
またここで一度亀田に帰ってきて、NICU研修となりました。亀田では週数制限のない、総合周産期センターです。超急性期、22週台の早産児、超低出生体重児から、満期の呼吸障害、低血糖、新生児仮死など幅広く経験しています。
今まではまず産婦人科の勉強をすることだけに精一杯でしたが、2年目の最後に一度新生児側から勉強できたことはとても重要でした。
実際に自分がとった子がどんな風に大きくなっていくのか、自分たちが赤ちゃんを出したタイミングは正しかったのか、色々考えさせられ、勉強することがたくさんありましたし、お産をとったら終わりではなくて、むしろ人生のほんの始まりに過ぎないんだなと、痛感しました。
また1年目の時に産科で担当となったお母さんが、2人目が生まれてNICUに入ることになったときに、今度は新生児側で2人目のお子さんの担当医として、お母さんに再会する、そんな1つの病院で継続して研修するからこそ得られる、患者さんとの繋がりも感じることができました。
1年目の時に緊急C/Sとなり、新生児死亡となってしまったお母さんがいました。私にとっても初めてのお見送りで一緒にお見送りをした方でした。
今回NICUローテ中に、その方の次のお子さんが生まれ、C/S後のTTN(呼吸障害)で入室となりました。
今度は弟くんの担当医として、お母さんとの再会することができました。退院の時に、お母さんから「最後に先生に抱っこしてもらいたい」 と言われたとき、胸がいっぱいになりました。
一度病院は離れたけれど、感じた継続性でした。


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そして、3年目のスタートは旭中央病院から始まりました。病床数は亀田と同じくらいと大きく、また産婦人科内は、専門医前の医師が8人と若手が多い病院でした。亀田では同期1人だったため、今まであまりなかった若手同士の意見交換もよくあって、それぞれが今まで経験してきた病院でのやり方を共有しあったり、ともに知識をアップデートしたりすることができましたし、同期と自分の手技を比較して、自分の弱いところ、得意なところを振り返るいい機会となりました。
また、産科は地域周産期母子医療センターで、NICUは28週以降の受け入れでしたが、分娩数は1000件弱あり、通常分娩を多く経験することできました。


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円グラフはこんな感じです。ここでは、今までの病院より、外来を多くみることができました。産科外来週1回、婦人科外来週2回と週3回は定期外来があり、婦人科外来では初診や一般不妊なども混合だったので、外来診療のバリエーションが増えました。


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そして若手が多い分、交流は多く仕事終わりや週末は飲み会が充実していました。あとは旭で、今まで鴨川でちょっとしかかじったことのなかったサーフィンを始めました!右上の写真、4月の歓迎会の時、始まりはそのくらいの白さだったのに、左下の9月の送別会の時には、こんな感じでだいぶこんがり仕上がりました。


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そして10月からback to 鴨川ということで、今度はサーフィンを本格的に始めました。まだ立ってみたり、ダイブしたり、おぼれたり、、修練中です。また帰ってきてからは3年目として、1年目の時とは打って変わって、手術症例もかなりもらえ、仕事も忙しくはなりましたが、楽しくすごしてます。


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そして、この3年間、大切な出会いと別れもありました。新しい地へ向かってはばたく人には、最高のBBQでお見送りをする、それが鴨川式です。


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そして今(2020年6月時点)、ARTセンターを回っています。産婦人科の中でも専門性の特に強い領域であるため、食わず嫌いを強いましたが、3か月目の今は、徐々に仕組みがわかるようになってきて、産婦人科領域の新たな魅力にひかれています。外来がメインですが、週2日は腹腔鏡、子宮鏡の手術も行っています。空き時間には、時々こんな風に、みんなでCSSセンターで練習して、スキルアップしています。
以上が駆け足に、私の後期研修の振り返りです。
また、ローテを始めたその週から、2人目不妊で通院中のお母さんたちに、
「先生!この子の時はお世話になりました。」と声をかけてもらうことがちょこちょこあり、
赤ちゃん連れて来院していたお母さんと久しぶりの嬉しい再会!
ほっこりするとともに、2人目もぜひ妊婦検診したい!不妊治療にも自然と熱が入ります。
無事卵巣を温存でき、手術所見からPCOSを認めたため、多孔術も追加。
術後やはり不妊で悩んでいたためARTセンターへ紹介し、治療開始したところ自分がローテ中に担当医となり妊娠成立させることができました!


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そして学会発表も。亀田からは4件、長崎医療センターからは2件、指導いただきました。関東連合ではYoung Poster Awardを受賞!!!指導医の松浦医師とともに初めての論文発表もできました!(^^)!


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さいごになりましたが、こんな感じで〜す(*´▽`*)
ご興味のある、初期研修医の方々!ぜひ一度、見学にいらしてください!

このサイトの監修者

亀田総合病院
産婦人科主任部長 大塚 伊佐夫

【専門分野】
婦人科悪性腫瘍