台風15号 その1

「東京湾に入ってくる台風は怖い」と鴨川の漁師の間で言われているそうです。今回はまさにそうでした。北半球では台風は反時計回りで回転しながら北上します。東京湾に入ってくる台風では房総半島はちょうど、最も強い海風を受けることになります。
ニュースなどでもご存知の通り、今回の台風で千葉県は大きな被害を受けました。鴨川も場所によっては現在も停電、断水が続き、不自由な生活が強いられているばかりか、お隣の南房総市では熱中症で亡くなった方もいるとのことです。西日本豪雨や震災の被災者の方々を思えば、何のこれしき、といいたいところですが今回は結構参ってしまった古澤です。


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台風でこんな恐怖を感じたのは生まれて初めてでした。何しろ、産婦人科医の習性で普段から眠りが浅いので、ちょっとした音や気配ですぐに目が覚めてしまいます。あの夜、1時ごろただならぬ風の音に目が覚めてからは嵐が過ぎ去った明け方まで一睡もできませんでした。平気で寝ている家族の神経の図太さをうらやましいと思いつつも、窓際に寝ている子供を窓から離れたところに移動させたり、雨戸のない窓のカーテンを閉じたり、家中を行ったり来たり。テレビのニュースで状況を確認しようと思ったら、2時50分にパチンと切れて、その後は真っ暗。窓の外をみると、近くの信号機も消えており、町中が闇に包まれました。
闇に目が慣れてきたころ、目を凝らすと庭の中心にあるクヌギの木が家の壁を叩かんばかりに大暴れしています。時折、家全体がゴゴゴっと揺れたり、ビリビリと震えたり、屋根が飛ぶんじゃないかと思う瞬間もありました。
寝たり起きたり、落ち着かない時間を過ごしているうちに気が付けばあの化け物は通り過ぎていました。
目が覚めて、窓の外をみると、このありさま。まぁ、そうなるだろうなと思ってはいましたが実際に目にすると愕然とします。


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リビングに接したサンルーム。窓が閉まっていれば揺れるはずのない洗濯物が揺れていたのですが、なるほど、天井がなくなっていたのか・・・。いったい、どこへ飛んで行ってしまったのやら。床は水浸し、飛んできた木の枝やら木の葉の屑が堆積しています。


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畑の支柱やネットはこの通り。場所によっては直径19mmの鉄パイプが折れ曲がっています。


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沢山の実をつけていた柿の木がほぼ根元から折れてしまいました。サルにやられる心配は無用になりました。


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スケキヨとジェイ子も力尽きてしまいました。
月曜の朝です。家のことはいろいろ気になりますが、とりあえず、建物そのものには被害はなく、家族も大丈夫なので、とにかく、病院へ行かなきゃ。


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病院は停電もなく、入院患者さまには窓からの雨漏りなどでご不自由をおかけしましたが、業務的には通常通りに行えました。外来は予約患者さまの1/3位がキャンセルになったかな。早めに仕事を切り上げて家路につきます。台風一過の夕焼け。


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町中の信号のほとんどが消えており混乱していました。
駅周辺の一部で電気が通じており、駅前のイオンは営業していました。夕食時でもあり食料を買い求める人でごった返していましたが、私が入店した時点では既に、弁当やお惣菜、パンなどそのまま食べられるものは売り切れていました。
しょげていても仕方がない。明日からは片付けと仕事、頑張らねば。カセットコンロで作ったインスタントラーメンを家族でつつきながら、無事に自宅で過ごせる幸せを噛みしめました。それにしても、暑い。水風呂に入って体を冷やして布団に入りましたが、すぐに汗だくです。明日には電気が来るかなあ・・・?
その2へつづく。

このサイトの監修者

亀田総合病院
産婦人科主任部長 大塚 伊佐夫

【専門分野】
婦人科悪性腫瘍