新生児搬送

聞き慣れない言葉かもしれませんが、産まれたばかりの具合の悪い赤ちゃんを病院に運ぶことを言います。前回の記事にもあったように、方法はヘリコプターもありますが、通常は救急車を使うことが多いです。

当院亀田総合病院周産期センターは、専用の救急車・専任のドライバーさん、医師、そして看護師の三人で近隣の産科施設に赤ちゃんをお迎えに行きます。もちろん救急車用の保育器(搬送用保育器と言います)のメンテや、専用の医療機器が必要なときは専任の臨床工学技士さんが調整してくれます。

こんな風に沢山の協力のもとに、ものごとが進むようになったのは、ここ10年くらいのお話で、私が新米だった頃は、自治体の救急車(普通に119番で)で一人で赤ちゃんをむかえに行きました。当然、初めて会う救急隊のかた、保育器を触ったことも乗せたこともない救急車の寝台に保育器のフレームを縛り付けて行きました。「市を越えて搬送は出来ない」と言われ、田んぼの真ん中で救急車を乗り換えたこともありました。一人で保育器を乗せ替え患者さんの所に辿り着いた時は、ホッとしたことを覚えています。(患者さんを乗せて戻る時が搬送の本来のお仕事ですが!)

先日も、大嵐の去った早朝に新生児搬送がありました。産院の先生のところでは、すでに応急処置や保温をして頂いておりまして、別の医師が病状を確認し無事に当院に入院、治療に入ることができました。こうやって、産まれたばかりの赤ちゃんの病気にすぐ対応出来るようにするには、医師だけではなく、看護師さん、工学技師さん、運転手さんなどの院内の連携、それから近隣産科施設の先生方との連携が大切と感じます。

救急車が無事にNICUに帰ってくると、本当にホッとして、よし!この赤ちゃんを元気にしよう!と思うのでした。

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このサイトの監修者

亀田総合病院
新生児科部長 佐藤 弘之

【専門分野】
生まれたばかりの赤ちゃんの病気を診ます。その後の体格ののびや発達も相談を受けます。