microbiology round
5/11のmicrobiology roundでは、急性リンパ性白血病患者の下顎リンパ節膿瘍、菌血症となったcorynebacterium striatumを扱いました。
【総論】
Corynebacterium属には約100種類登録されているが、臨床的に重要とされているのは20種類程度と言われている。ジフテリアを起こすC. diphtheriaが最も重要視されていたが、同様にジフテリア様の症状を起こす人獣共通感染症のC. ulceransや乳腺炎の原因として報告されているC. kroppenstedtiiも注目されている。C. striatumは人の皮膚常在菌であり、皮膚や喀痰から分離される。
【名前の由来】
Coryne=棍棒状の
Striatum=線条体、溝のある
【微生物学的特徴】
- C. striatumは通性嫌気性グラム陽性桿菌
- グラム染色では棍棒状の菌体がN,Y,V字状の配列を示すのが特徴
- 24時間培養で直径1-1.5mm程度、表面がスムースな灰白色のコロニーとなる
- 無芽胞、鞭毛は有しておらず運動性はない
- CAMPテスト陽性株も存在する
【臨床的特徴】
- 感染性心内膜炎、髄膜炎、肺炎、壊死性皮膚軟部組織感染症、化膿性関節炎、骨髄炎などがある
- システマチックレビューでは、C. striatumによる感染と診断された85症例からは、血液28%、ついで骨・関節15%、喀痰14%、手術検体10%の順で多かった。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34161555/
【薬剤感受性・治療】
- 抗菌薬の第一選択はバンコマイシン、第二選択はダプトマイシン、リネゾリド、テイコプラニン
- ダプトマイシンに対する耐性を急性に獲得することが報告されているので注意が必要である。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33472898/
このサイトの監修者
亀田総合病院
臨床検査科部長、感染症内科部長、地域感染症疫学・予防センター長 細川 直登
【専門分野】
総合内科:内科全般、感染症全般、熱のでる病気、微生物が原因になっておこる病気
感染症内科:微生物が原因となっておこる病気 渡航医学
臨床検査科:臨床検査学、臨床検査室のマネジメント
研修医教育