Microbiology round
3/23のMicrobiology roundでは、急性骨髄性白血病患者の血液培養から発育したRhodotorula mucilaginosaを扱いしました。
「ロドトルゥーラ」と呼ぶ。
<微生物学的特徴>
- 酵母様真菌
- Gram染色では卵形または円形の酵母様形態。Gram染色で他の酵母との鑑別は不可能。
- サブローデキストロース寒天培地ではサーモンピンク色のコロニー。カロテノイド色素による。
- 生化学的性状を用いたキットや質量分析装置で同定が可能。アピCオクサノグラムではR. mucilaginosa、R. glutinis、R. minutaの同定が可能。
- Rhodotorula属とCryptococcus属は多くで類似。ともに円形の多面性出芽酵母でウレアーゼ産生、莢膜あり。
- Rhodotorula属は、Cryptococcus属と違い、フェノールオキシダーゼ陰性(ただしCryptococcus gattiiはフェノールオキシダーゼ陰性)、イノシトールの糖利用がない。
- 薬剤感受性検査の方法は確立されていない。多くの症例では、アムホテリシンBと5-FCに感性であると報告されている。アゾールの一部やエキノキャンディン系抗真菌薬にはintinsically resistantと考えられている。
- Candida属以外の酵母様真菌は?
Rhodotorula mucilaginosa
Cryptococcus neoformans/ gattii
Trichosporon asahii
Trichosporon mycotoxinivorans
Saccharomyces cerevisiae
Wickerhamomyces subpelliculosus
<臨床的特徴>
- まれな酵母様真菌の治療まとめ:2021年にグローバルガイドラインがでています。 https://www.thelancet.com/pdfs/journals/laninf/PIIS1473-3099(21)00203-6.pdf
- 病原性が低いと考えられていたが、免疫不全者での日和見感染症が報告されている。土壌や水回り、乳製品、シャワーカーテン等に多く見られる。
- アジア太平洋地域からの報告が最も多い。
- R. mucilaginosa、R. glutinis、R. minutaの3種類がヒトへの病原性を持つ。R. mucilaginosaが75%。
- カテーテル関連血流感染症が最も多いが、眼内炎などの眼感染症、CAPD関連腹膜炎、IE、髄膜炎の報告。
- 患者背景:ステロイド、血液・固形悪性腫瘍、HIV、CVカテーテルの留置、広域抗菌薬使用。
- 治療はアムホテリシンB±5-FC
このサイトの監修者
亀田総合病院
臨床検査科部長、感染症内科部長、地域感染症疫学・予防センター長 細川 直登
【専門分野】
総合内科:内科全般、感染症全般、熱のでる病気、微生物が原因になっておこる病気
感染症内科:微生物が原因となっておこる病気 渡航医学
臨床検査科:臨床検査学、臨床検査室のマネジメント
研修医教育