Microbiology round

本日のMicrobiology roundでは、消化管穿孔患者の血液培養から発育したGemella haemolysansを扱いました。
*Gemella=小さな双子、haemolysans=溶血・ヒトの口腔、上気道、消化管に常在する通性嫌気性グラム陽性球菌。

<微生物学的特徴>

  • Gram染色では、クラスター状、双球菌、単連鎖など多彩な形態を示す。
  • 脱色抵抗が弱く、グラム陰性に見えることも多い(脱色抵抗が弱いものには、他にLactobacillusや嫌気GPRがある)。そのため、当初はNeisseria属に分類されていた。
  • ヒツジ血液寒天培地では非溶血、もしくはα溶血だが、ウサギやウマ血液ではβ溶血する(赤血球の膜の壊れやすさは、ウサギ>ウマ>ヒツジの順)。
  • G. morbillorumは嫌気環境を好むが、G. haemolysansは好気環境を好み、炭酸ガス培養で発育がよい。
  • G. morbillorumはマンニトールとソルビトールを分解するが、G. haemolysansはしない。

<Gemella属の臨床的特徴>

  • 感染性心内膜炎、肺炎、膿胸、肝膿瘍、腹膜炎、眼内炎、椎体炎、関節炎、髄膜炎、脳膿瘍の報告がある。
  • 大腸癌との関連性を指摘する報告もある。
  • 抗菌薬感受性は、Streptococcus viridansと同様に考える。ペニシリンGに感性のことが多い。IEで、PCGのMICが 0.12 μg/mL以上のときは、ゲンタマイシンの併用を推奨する専門家もいる。

Scand J Infect Dis. 2004;36:885‒888.
J Clin Microbiol. 2002; 40: 1129‒1133.
Journal of Clinical Microbiology 2012; 50: 1787-1791
Eur J Clin Microbiol 1982; 1: 102/ 6.

このサイトの監修者

亀田総合病院
臨床検査科部長、感染症内科部長、地域感染症疫学・予防センター長  細川 直登

【専門分野】
総合内科:内科全般、感染症全般、熱のでる病気、微生物が原因になっておこる病気
感染症内科:微生物が原因となっておこる病気 渡航医学
臨床検査科:臨床検査学、臨床検査室のマネジメント
研修医教育