インフルエンザ情報

バロキサビル耐性変異ウイルス(A/H3N2)が、横浜市内の小学校の集団発生の調査において、2例みつかっています(4例抽出して2例から検出)。この2例は、バロキサビル(ゾフルーザ)内服3日後に採取された検体を使用しています。ちなみに、この2症例は、内服後2日で解熱し、症状は改善しています。投薬によって改善したというよりも、自分の免疫で回復したと考えられます(インフルエンザはもともと自然に治癒することがほとんどなので、当然といえば当然です)。

国立感染症研究所のHP
新規抗インフルエンザ薬バロキサビル マルボキシル耐性変異ウイルスの検出
抗インフルエンザ薬耐性株サーベイランス 2019年02月01日

すでに文献化されています!(open accessです)
Detection of influenza A(H3N2) viruses exhibiting reduced susceptibility to the novel cap-dependent endonuclease inhibitor baloxavir in Japan, December 2018

このレポートからわかることは

  • バロキサビルを使用すると、耐性変異ウイルスが出現する(それなりに高い割合と思われます)
  • 耐性変異ウイルスの場合、治療3日後でも排泄されている(過去の報告通りです)
  • 耐性変異ウイルスであっても(バロキサビルが無効な可能性が高い場合でも)、インフルエンザは治癒しうることから、抗ウイルス薬の効果はそもそも限定的で、自然に治癒する疾患である(多くの患者さんにおいて、抗ウイルス薬は必要ではありません:抗ウイルス薬の適応については、亀田感染症ガイドラインをご参照ください

まだ臨床的なインパクトがどの程度かわかっていませんが、当初から危惧されていた現象(耐性ウイルスが急速に増加)が起こっている可能性がありますので、今後の耐性変異ウイルスの検出状況をフォローアップしていく必要があります。

このサイトの監修者

亀田総合病院
臨床検査科部長、感染症内科部長、地域感染症疫学・予防センター長  細川 直登

【専門分野】
総合内科:内科全般、感染症全般、熱のでる病気、微生物が原因になっておこる病気
感染症内科:微生物が原因となっておこる病気 渡航医学
臨床検査科:臨床検査学、臨床検査室のマネジメント
研修医教育