2023.06.29 麻酔科抄読会

Hypotension-Avoidance Versus Hypertension-Avoidance Strategies in Noncardiac Surgery : An International Randomized Controlled Trial
Ann Intern Med. 2023 May;176(5):605-614.
Maura Marcucci et. al.

担当:初期研修医1年目可児先生/柘植先生

背景:
非心臓手術を受ける患者の中で、周術期の血液動態異常は血管合併症と関連しています。術中の血圧目標や周術期の長期的な降圧薬の管理方法については、依然として不確実な点が残っています。

介入:
この研究では、非心臓手術後の主要な血管合併症に対する低血圧回避戦略と高血圧回避戦略の効果を比較しました。低血圧回避戦略グループでは、術中の平均動脈圧目標を80 mmHg以上に設定し、手術前および手術後2日間はレニン-アンギオテンシン-アルドステロン系阻害薬を中止し、他の長期的な降圧薬は収縮期血圧が130 mmHg以上の場合にのみ投与しました。一方、高血圧回避戦略グループでは、術中の平均動脈圧目標を60 mmHg以上に設定し、手術前後において全ての降圧薬を継続しました。

結果:
主要アウトカムである非心臓手術後30日間の血管死および非致死的心筋損傷、脳卒中、心停止の合併症の発生率について、低血圧回避戦略グループと高血圧回避戦略グループでは顕著な差は見られませんでした。低血圧回避グループでは3,742人中520人(13.9%)が主要アウトカムを経験し、高血圧回避グループでは3,748人中524人(14.0%)が主要アウトカムを経験しました。また、長期的に1つ以上の降圧薬を使用している患者においても結果は一貫していました。

後期研修医4年目 荻野 仁史

このサイトの監修者

亀田総合病院 副院長 / 麻酔科 主任部長/亀田総合研究所長/臨床研究推進室長/周術期管理センター長 植田 健一
【専門分野】小児・成人心臓麻酔