2023.06.27 麻酔科抄読会

Mild Hypercapnia or Normocapnia after Out-of-Hospital Cardiac Arrest.
N Engl J Med. 2023 Jul 6;389(1):45-57. 

担当:初期研修医1年目永井先生/劉先生

院外心停止後に蘇生された患者において、脳灌流を維持するのにPaCO2を正常範囲で維持することが推奨されていますが、PaCO2を軽度高値とした方が神経学的予後を改善するという報告もあります。しかし、最も効果的なPaCO2の値はランダム化比較試験で示されていませんでした。

そこで筆者らは以下のランダム化比較試験を実施しました。

P:院外心停止後に自己心迫が再開した18歳以上の患者(1700名) 
I:PaCO2を軽度高値(50-55 mmHg)で管理した群
C:PaCO2を正常範囲(35-45 mmHg)で管理した群
O:6ヶ月後の良好な神経学的転帰

結果:両群間で6ヶ月後の神経学的予後に有意差を認めなかった。

植田先生によると、以前は蘇生中から脳血流を増やすためにCO2を投与することが推奨されたそうで、ある論文には、炭を焚いてCO2を発生させながら蘇生を行うという面白い方法が記載されたそうです。 
ご興味のある方はぜひ検索してみてください。 
発表者の永井先生、劉先生、ありがとうございました。

専攻医3年目 栁 俊文

このサイトの監修者

亀田総合病院 副院長 / 麻酔科 主任部長/亀田総合研究所長/臨床研究推進室長/周術期管理センター長 植田 健一
【専門分野】小児・成人心臓麻酔