専門医試験合格体験談

専攻医の寺尾です。この度、第60回麻酔科専門医認定試験に無事合格しました。是非体験談を、と声をかけていただいたので少しお話させていただきます。

私が専門医試験の勉強を始めたのは、ちょうど1年前です。はやっ!と思われる方が多いと思いますが、私なりに理由があり、ちょうどこの時期に知識の薄さに少し悩んでいたからです。麻酔科医になって2年半が経ち、なんとなく麻酔は1人でできるようになりましたが、浅い経験値からただ麻酔ができているだけで背景知識が薄いと日々感じていました。研修医や後輩専攻医の指導をお願いされる機会も増えてきましたが、彼らに語れるほどのものはなく私が指導していいのだろうか...と考えあぐねていました。どこから何の勉強をしたものかと考えた時に、手っ取り早く専門医試験の勉強をしようと思ったのです。

勉強を始めた当初は過去問を見てもびっくりするぐらい知らないことが多過ぎて心が折れそうになりましたが、プール問題も多く段々スピードは上がりました。試験3ヶ月前には6年分3周を終わらせ、そこからは苦手な問題を中心に解き直し青本で口頭試験対策も始めました。また、職場でも2週に1回、専攻医対象の勉強会を開いていただいたり、実際の試験形式に即した口頭試験対策を実施していただきました。

仕事と試験対策に追われる中、妊娠が判明しました。幸い妊娠経過は順調で、大きなトラブルなく妊娠8ヶ月で試験を受験することができました。もし途中で問題が発生したら試験よりもお腹のベビーを最優先するつもりでしたが、ここまで順調に育ってくれました。問題なく過ごせたのも亀田麻酔科だからこそで、体調が優れない時は麻酔を代わっていただいたり、負担の大きな業務は免除していただいたりと配慮していただきました。また、出産を経験された先輩女性医師からのアドバイスも大変励みになりました。

今年も筆記のB、C問題は難しく終わった瞬間は落ちたんじゃないかと思いましたが、A問題を始め皆が間違えない問題を落とさなければ大丈夫だったのかなという印象です。口頭試験は独特の雰囲気もあり、当たる問題によっては筆記の過去問を暗記するだけの試験対策ではおそらく足りないと思います。日々の麻酔中に生理学、薬理学的な観点から考える癖をつけたり、心外や小児等の特殊麻酔でのポイントを押さえた勉強が必要です。

応援してくれる職場の皆様、いつも側で支えてくれる夫がいたからこそ合格できました。ありがとうございました!

このサイトの監修者

亀田総合病院
麻酔科主任部長 小林 収

【専門分野】
麻酔、集中治療