2021.07.29 抄読会

担当:初期研修医2年次 斉藤 聡大先生/指導医 河野 宏之先生

Repeated Cross-sectional Surveys of Burnout, Distress, and Depression among Anesthesiology Residents and First-year Graduates (麻酔科研修医の燃え尽き症候群、苦痛、うつ病)
Huaping Sun , David O Warner, Anesthesiology,et al. 2019 Sep;131(3):668-677

医師はその他の一般職業と比較して、burnout有病率が高い(27.8%対37.9%)。麻酔科も例外ではなく、burnout有病率が48%と非常に高い。
目的:この研究では、麻酔科研修医のburnout, distress, and depressionの有病率、要因をあきらかにする。
方法:2013~2016年の間に米国で麻酔科研修を開始した医師を対象し、麻酔科研修1年目から研修修了1年目まで毎年オンライン調査を行い、取集したデータをロジスティック回帰分析を行う。
結果:14,529人に調査メールが送られ、5,295人(36%)から回答を得た。Burnoutの有病率:37〜57%であり、医師3年目から医師4年目にかけて一番高くなり、6年目以降には少し下がる傾向であった。女性:男性は54%対49%。distressの有病率:17〜37%であり、医師4年目は平均として34%と最も高かった。女性:男性は40%対27%。Depressionの有病率:9〜15%で、有病率に年次ごとの統計的有意差なかった。女性:男性は15%対10。一方、外国医学部出身者は国内医学部出身者と比べBurnoutとDepression有病率が低かった(それぞれ40%対52%と8%対12%)。週あたりの労働時間で、1時間の労働時間増加ごとにDistress、Depressionどちらもリスクが3%増加した。オッズ比= 1.03 (95%CI、1.02〜1.05) 。職場がburnout/depressionに対処するのに十分なリソースを提供し、医師がそれらを快適に使用できると認識することで、また、Work-life balanceが維持できることでburnout/depressionリスクは下がる可能性があった。一方、学生ローンの借り入れがburnout, distress, and depressionの主なリスクファクターであった。
結論:2013年から2016年に麻酔科研修を開始した麻酔科医の約半数がburnoutを、3分の1がdistressを、8人に1人がdepressionを経験した。burnout、distressは医師3年目から医師4年目にかけてピークに達した。女医、労働時間、学生ローンの借り入れ額などがburnout/distressのリスクを上昇させる。一方、職場がburnout/depressionに対処するのに十分なリソースを提供し、医師がそれらを快適に使用できると認識することで、また、Work-life balanceが維持できることでburnout/depressionリスクは下がる可能性がある。

この研究は回答率が低めで、Burnoutの定義も曖昧で、個人の主観的な考えでburnout/depression特性の高い人が多く回答した可能性はありますが、職場環境・社会の強力な支援システムがあるとリスクが下がるのが確かだと思います。
自分も麻酔科後期研修医として働く上で、burnout/depressionにならないように仲間と支え合いながら頑張っていきたいと思います。

斉藤先生、河野先生、ありがとうございました。

亀田総合病院 麻酔科 後期研修医 イマム

このサイトの監修者

亀田総合病院
麻酔科主任部長 小林 収

【専門分野】
麻酔、集中治療