2021.06.22 M&Mカンファランス

担当:重城先生、PAN 須田さん/指導医 劉先生

重城先生
TUR-BT術中の膀胱穿孔について
脊髄くも膜下麻酔で管理していた症例が、腹痛を訴え、全身麻酔に切り替えた症例でした。
術中は特にバイタル等問題なく経過したが、抜管後、腹痛と腹部の膨満があり、腹部エコーにより腹直筋と腹膜の間(腹直筋鞘ブロックをする層)に液体貯留があり、膀胱穿孔と診断した症例でした。
腹痛や不穏等の症状が現れたらまず麻酔レベルを確認するとともに腹部を観察すること、手術室ですぐに可能な検査として経腹エコーがあることが学びでした。

PAN 須田さん/指導医 劉先生
披裂軟骨亜脱臼について
緊急手術で、マックグラスを使用し挿管した。挿管は容易で指導医が見ても特に手技上の問題はなかった。
挿管のままICUに帰室したが、経過は特に問題なかったため数時間後に抜管された。しかし、術後回診で術前と比べて声が時々高く裏返るとの訴えがあった。
経過観察していたが、約2週間後、再度全身麻酔下での手術が予定されたため、再度、麻酔科医が診察した際もまだ残存していた。
耳鼻科に依頼し、喉頭ファイバーで披裂軟骨亜脱臼と診断した。バルーンカテーテルによる整復術も考慮されたが、軽症であり、経過観察で数週間後には改善した。
挿管の手技そのものが特別粗雑なやり方でなくても、披裂軟骨亜脱臼が生じた症例でした。
今回は経過がかなり長くなり、自然に回復しましたが、術翌日の術後回診で嗄声等を認めた場合は早めに耳鼻科に相談することも考慮すべきだと学びました。

重城先生、須田さん、劉先生、ありがとうございました!

亀田総合病院 麻酔科 後期研修医 寺尾、荻野

このサイトの監修者

亀田総合病院
麻酔科主任部長 小林 収

【専門分野】
麻酔、集中治療