三叉神経痛は、一方の顔面に激しい痛みを生じる病気で、片側顔面痙攣は一方の顔面がピクピクと痙攣を起こす病気です。
いずれも脳の血管が脳神経(三叉神経と顔面神経)を直接圧迫することにより引き起こされる症状なので、このふたつは同じカテゴリーとして併記されることが通常です。
また、治療法も似ています。
極めて稀な疾患ではありますが、脳の血管が舌咽神経を圧迫して生じる舌咽神経痛に関しても、同じ疾患群で治療法も同様です。
症状
三叉神経痛
- 片側の顔面の半分程度がズキンと痛む(特に顔の下半分に現れることが多い)。
- 電気ショックのような突き刺す痛みが数秒~数分程度持続。
- 口の周りや頬の周囲といったトリガーゾーンへの軽い接触で痛みが誘発される。
- 歯磨き、髭剃り、食事、会話など、日常の動作で痛みが出現することが多い。

片側顔面痙攣
- 片側の瞼がピクピクと痙攣し、勝手に目が閉じようとするのが主症状。
- 症状が進行すると、口の周りや首まで痙攣が拡がる場合がある。
- 疲労やストレスにより、症状が増強される傾向がある。

舌咽神経痛
- 一側の喉の奥から激烈な痛みが始まり、耳の方に放散する。
- 症状は、嚥下(特に冷たい水)、咳、会話などで誘発され、数秒~数分続く。
- 三叉神経痛と類似した疼痛が顔周辺にも現れる。

診断方法・重症度の評価
症状の問診と診察が最も大切で、これによりほとんど診断がついてしまいます。
頭部MRIの精密検査で細かな神経と血管の走行を確認します。実際の外来診察で症状と経過を確認させて下さい。
治療方法
治療は、薬物療法と手術加療に大別されます。
三叉神経痛
- まずは内服薬による治療で症状が改善する場合があります。
- 内服療法のみで効果が不十分、または副作用により継続が困難な場合は、手術加療をお勧めします。
片側顔面痙攣
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ボトックス(ボツリヌス毒素)の注射療法により、症状の緩和が期待できます。
- 効果は一過性のため、数カ月ごとに通院して注射を受ける必要があります。
- 患者さまの生活背景やご要望に合わせ、症状緩和を目的とした手術加療をおこなうこともあります。
微小血管減圧術 : 共通の手術治療
手術アプローチ | 脳血管が神経を圧迫していることが原因であるため、それらを取り除くため、圧迫している血管を丁寧に剥がします。再度圧迫することが無いように固定をおこないます。 |
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術創部 | 耳の後方のうなじの付近から脳神経にアプローチするため、剃毛はわずかで、目立つような大きな傷もできない手術をおこなっています。 |
入院期間 | 通常入院は1週間程度ですが、希望に合わせて術後3日程度で退院される方もいらっしゃいます。 |



監修者
亀田総合病院・亀田クリニック脳神経外科 東本 杏一
【専門分野】
頭蓋底手術(髄膜腫、神経鞘腫、下垂体腺腫など)悪性脳腫瘍の集学的治療(神経膠腫、転移性脳腫瘍)微小血管減圧術(片側顔面痙攣、三叉神経痛)
東本医師の外来日
月曜午前 脳神経外科一般外来 / 水曜午後 脳腫瘍専門外来となります。
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