前回はイビキおよび閉塞性睡眠時無呼吸症(以下 無呼吸)について、耳鼻咽喉科が関わる病態のうち鼻づまりについて、成人と小児に分けて無呼吸との関わりを解説しました。今回は扁桃腺・アデノイドと無呼吸の関わりです。
扁桃腺・アデノイドと無呼吸

成人の扁桃腺やアデノイドについては、小児と同じでとても大きい場合は無呼吸の原因になります。ただし、小児とくらべると成人はもともと扁桃腺やアデノイドが小さいため20歳以上で無呼吸になるほど扁桃腺が大きい方は稀です。成人患者さまの場合、肥満によって扁桃腺の間の隙間が左右から押し縮められて無呼吸の原因となることが多いです。
治療法
小児の場合
鼻づまりが併存しているとイビキや無呼吸がひどくなりやすいため、まずは鼻の治療をしてみて改善しない場合は扁桃腺もしくはアデノイドの手術をします(全身麻酔)。しっかり術前の評価をしてから扁桃腺とアデノイドの手術をすると、イビキと無呼吸が改善する割合は高く、中途覚醒や夜泣きが減ったり、すっきり起床できるようになったと親御さんに感謝されることも多いです。
扁桃腺とアデノイドがさらに大きくなると食べ物を咀そ嚼しゃくするときに鼻呼吸ができなくなるため、あまり噛まずに食べられる柔らかい食事しか食べなかったり少量しか食べられなかったりしますが、手術によって咀嚼中の鼻呼吸ができるようになると、おいしく食べられるようになったり、たくさん食べられるようになります。
成人の場合
扁桃腺・アデノイドが非常に大きければ、扁桃腺の摘出術でイビキや無呼吸が改善する可能性がありますが適応となる患者さまは少数です。
また、おとなの無呼吸については扁桃腺の間にある口蓋垂(のどちんこ)の粘膜を切り取ったり、レーザーで収縮させるなどして息の通り道を広げる手術も有効です(軟口蓋形成手術)。ただし、この手術は効果が長続きしないことがあったり、レーザーで焼いた粘膜が術後半年以上経ってから硬くなりかえって術前より息の通り道が狭くなることがあるため、当院では軟口蓋形成手術は行っておりません。ご希望の時は東京の病院を紹介しています。肥満の方は痩せるのが一番の治療になります。
