かめだPOST 無呼吸)そのイビキ、鼻づまりや扁桃腺が原因かもしれません??

これまで6回にわたって、イビキおよび閉塞性睡眠時無呼吸(以下 無呼吸)についてその原因や対応について外木先生の解説を読まれてきたかと思います。無呼吸の原因は、肥満・短い下顎・大きな舌などいろいろありますが、耳鼻咽喉科が関わる病態は主に、鼻づまりと扁桃腺・アデノイド、その他になります。今回から2回にわけて、および扁桃腺・アデノイドと無呼吸の関わりを解説します。

鼻づまりと無呼吸

成人で鼻が強くつまっている場合、それだけではひどい無呼吸にはなりません。しかし、肥満や短い下顎などの要素に加えて鼻づまりがあると、無呼吸が余計ひどくなります。CPAP治療や口腔スプリント治療はイビキと無呼吸にとても有効な治療ですが、夜間鼻がつまっているとCPAPのマスクやマウスピースが苦しくなって、せっかくの治療がうまく行えません。

一方、小児(小学生以下)の場合は、強い鼻づまりが無呼吸の原因になります。小児はのどぼとけの位置が高いために口呼吸で鼻呼吸を肩代わりできないからです。

治療法

成人の場合

鼻づまりの治療の第一歩は飲み薬(抗アレルギー薬)と鼻スプレー薬(鼻噴霧ステロイド剤)になります。抗アレルギー薬は花粉症のときに服用するのと同じ錠剤ですが、夜間鼻閉がある方にも一定の効果が見込めます。鼻噴霧ステロイド剤も同じく花粉症のときに使う薬で、錠剤と併用することで鼻炎に対して強い効果が期待できます。ステロイドと聞くと副作用を心配される方もいますが、体内で速やかに分解されるタイプのステロイドなので、内服ステロイドで見られる骨粗しょう症などの副作用はおきません。錠剤と鼻スプレーで鼻づまりが改善するとCPAPやマウスピース治療がより効果的にできるようになることも多いです。
軽いイビキのみであれば、鼻の治療だけで改善することもあります。

成人の患者さまで、薬だけでは鼻づまり改善が不十分なときは耳鼻咽喉科で手術をします。鼻づまりの最大の原因は鼻の中の下鼻甲介という構造物です。この下鼻甲介をレーザーで焼く外来手術、下鼻甲介の骨を切除する全身麻酔の入院手術、さらに専門性の高い下鼻甲介に分布する神経を切断する手術も行っています。鼻づまりが原因でCPAP治療ができなかった方でも、耳鼻咽喉科の手術のあと鼻がすっきり通るようになりCPAPの装着率が劇的に改善したケースもありました。また呼吸器内科で睡眠検査をされる際に鼻づまりの検査(鼻腔通気度検査)を行うこともできます。
担当医にご相談ください。

小児の場合

治療は飲み薬(抗アレルギー薬)と鼻スプレー薬(鼻噴霧ステロイド)になります。小児でも薬の効果は高く、イビキや無呼吸が改善したことで中途覚醒や夜泣きが減り、日中ボーッとすることがなくなったというお子さまもいます。鼻スプレーは就学前のお子さまだと嫌がってできないこともありますが、頑張ってスプレーを併用すると鼻づまりに効果が期待できます。小児では成人のような下鼻甲介の手術を行うことは稀で、たいていの場合は次回お話しする扁桃腺やアデノイドの手術が検討されます。(ごくまれに鼻の手術が必要になることもあります)

監修者
耳鼻咽喉科部長
越智 篤

【専門分野】
聴覚医学、嚥下医学、高気圧潜水医学、睡眠医学

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