かめだPOST 顎変形症)こどもの睡眠、異常に早めに気づくことが大切です

前回は、顎が小さい場合、手術で閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療ができることをお話ししました。今回は小児の睡眠関連呼吸障害(Sleep related breathing disorder:SRBD)についてお話しします。

大人と同様に、こどももOSAになります。しかし、こどものOSAの病態は大人と違ってかなり様相が異なります。大人は肥満や顎が小さいことなど直接気道を傷害する原因が明確にありますが、こどもは、その成長期、性差、年齢、体重などのさまざまな生理的要因が複雑に絡み合い、明確な理由なしにOSA症状を発症することがあります。また、季節によって症状が変化することも特徴です。臨床症状としてこどものOSAは、めったに息は止まりません! これは、こどもは大脳発育のため大量に酸素を必要としているため、息が止まらないように呼吸努力がとても強く働きます。大人は1時間あたり20回以上息が細くなったり、止まったりすると重症と判定されますが、こどもの場合1回でも10秒以上の呼吸停止があれば重症と判断されます。このように、どんなことをしても呼吸を維持しようとするので、寝相が悪くなります。夜、自分の隣に寝ていたはずのこどもが、朝、全然別なところに寝ていた、という経験がありませんか? 呼吸を維持するために寝相が悪いのは生理的な現象で仕方のないことかもしれません。まずは、寝る前に鼻をかむなど、鼻の通りをよくして、寝相が悪くても大丈夫なように安全な睡眠環境を整えましょう!

また、こどものOSAと顎顔面形態は密接に関連することがわかってきています。

3~7歳頃までこどもの下顎は小さいことが普通で、逆にこの時期に下顎が前に出て上の歯と下の歯が反対咬合になっていると何らかの気道障害が疑われます。これは、息を楽にするために習慣として下顎を前に突き出していることが予想されます。また、10歳以上で上顎が大きく、下顎が小さい場合、これも気道になんらかの呼吸障害の可能性があります。上下の顎は物を食べるために大切な場所ですが、睡眠時に息がうまく吸えていないと、予期しない顎変形症をもたらす危険性があります。生理学的機能の不調和が、顎の形態不調和を誘発するといえます。

お子さんで、睡眠中に大きなイビキをかくことはもちろん、苦しそうに息をしている、胸がペコペコしているなどの症状があり、息が頻繁に止まるという場合は要注意です。また、その子が日中も“お口ポカン顔”で口が開いているなどの症状があれば、一度専門医の受診をおすすめします。診察の流れを記載しましたので、参照してください。

監修者
歯科口腔外科顧問・顎変形症治療センターセンター長・歯科診療科顧問
外木 守雄

【専門分野】
咬み合わせの不具合を治す専門家です。特にあごが小さいことでいびきがひどい方、ご相談下さい。

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