かめだPOST 顎変形症)閉塞性睡眠時無呼吸症の治療

睡眠時無呼吸症の治療は、一定の基準を満たせば、保険で標準的な診療が受けられます。当初、閉塞性睡眠時無呼吸症候群と呼ばれていましたが、病態や原因、検査、診断、治療方法などが確立し、現在では睡眠時に息が止まる疾患群という症候群から病態のはっきりした睡眠時無呼吸“症”という扱いになっています。

検査

診療の流れは、まず睡眠障害の検査、診断を行います。当院では呼吸器内科が担当し、脳波や呼吸の状態、心電図など多様な検査、ポリソムノグラフィ検査(Polysomnography:PSG検査)を行い、睡眠障害の原因を追求し、それに見合った治療の選択を行います。
PSG検査は1泊入院しての検査となりますが、脳波測定を含まないご家庭での持ち帰り検査が可能な簡易検査もあります。

睡眠障害には、大きく分けて睡眠の量の不足(睡眠不足症候群、長時間睡眠者、不眠など)と睡眠の質の低下(睡眠関連呼吸障害、周期性四肢運動異常症、慢性呼吸不全、痛みを伴う身体疾患など)があり、これに加えて覚醒の維持の問題、サーカディアンリズム障害※、神経疾患、精神疾患、薬物によるものなどがあります。睡眠障害にはさまざまな原因があるので適切な検査診断が必要です。

  • サーカディアンリズム障害:体内時計の周期を外界の24時間周期に適切に同期させることができないために生じる睡眠障害。

診断

閉塞性睡眠時無呼吸(Obstructive Sleep Apnea:OSA)は、睡眠中に上気道の軟組織や舌が弛緩して落ち込み、気道を狭窄及び閉塞した結果、低呼吸(Hyponea)や無呼吸(Apnea)を起こすものをいいます。無呼吸は10秒以上の気流停止したもの、低呼吸は換気が50%以下に低下した状態が10秒以上続く、もしくは動脈内の酸素濃度が3〜4%以上低下したものをいいます。
このことから、危ない無呼吸は10秒以上続くものといえます。要注意です!

この無呼吸や低呼吸が続くことで、体内の酸素が減少して、その苦しさから、呼吸を再開しようとして安眠が妨げられます。睡眠中に中途覚醒を繰り返すことで、睡眠は分断され、十分に眠れないことから、日中に強い眠気を伴い、注意力や判断力の低下、作業効率の低下、慢性疲労感などを生じるようになります。さらに、睡眠時の低酸素は、頭痛、脳血管障害、高血圧、循環器疾患に関連し、ストレスを伴って自律神経の異常やうつ病等の精神疾患、高脂血症、糖尿病、肥満、など多くの疾患に影響するといわれています。

治療

前述の無呼吸と低呼吸の合算が1時間に20回以上ある場合は、鼻から陽圧空気を送り込む、経鼻持続陽圧呼吸療法Continuous Positive Airway Pressure:CPAPが適応となります。20回以下の場合、保険診療では口腔内装置(Oral Appliance:OA)が適応になります。このOAは、下顎や舌を前に出すことで気道を広げて息を楽にする効果があり、口呼吸を遮断するので鼻呼吸を優位にする効果もあります。

受診相談先

当院ではOSAの治療は呼吸器内科、耳鼻咽喉科、歯科口腔外科が担当しています。睡眠呼吸障害を認める方、睡眠検査を希望される方は「呼吸器内科外来」を受診ください。また、鼻づまり、鼻イビキがひどいと思う方は「耳鼻咽喉科外来」を、そのほか顎が小さい、舌イビキがひどいと思う方は「歯科口腔外科」までご相談ください。

監修者
歯科口腔外科顧問・顎変形症治療センターセンター長・歯科診療科顧問
外木 守雄

【専門分野】
咬み合わせの不具合を治す専門家です。特にあごが小さいことでいびきがひどい方、ご相談下さい。

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