女性ならよく耳にする病気、膀胱炎。これは膀胱にばい菌が入り炎症を起こすため、トイレがちかくなったり、痛みや違和感が出たりする病気です。ばい菌が膀胱に入ることが原因となっているため、治療としては、ばい菌をやっつける抗生物質というお薬が使われます。ところが最近、抗生物質が効かない 「なぞの膀胱炎」、その名も間質性膀胱炎が注目を集めています。 間質性膀胱炎も膀胱に炎症が起こり普通の膀胱炎と同じような症状がでる病気です。詳しい原因はまだ解明されていませんが、少なくとも普通の膀胱炎とは違って、ばい菌によって起こるものではありません。膀胱の壁が薄くなって、おしっこが膀胱に染み込むため膀胱の壁に炎症が起こるのではないかといわれています。では、なぜ膀胱の壁が薄くなるのか? これについては全くわかっていません。
ところで、この間質性膀胱炎はどのような人に多いのでしょうか?年齢的には40歳から70歳くらいの女性に多いと言われていますが、子供や20歳代から30代の若い人にみられることもあります。また極少数ですが男性にみられることもあります。以前の日本では稀な病気だと思われていましたが、最近では欧米と同じく多くの患者さまがいることがわかってきました。典型的な間質性膀胱炎だけでなく、症状の軽い方を含めると日本でも100万人以上の潜在患者さまがいることがわかってきています。
間質性膀胱炎の典型的な症状は、トイレに行く回数が増え、行きたくなると我慢ができない感じがすることです。膀胱におしっこが溜まったときに下腹部に痛みや不快感などの症状がみられる場合もあります。軽症の場合は、単にトイレがちかいとか、おしっこが溜まったときに少しお腹が張るだけの症状の場合もあります。普通の膀胱炎はおしっこの検査で異常がみられるのに対して、間質性膀胱炎はおしっこの検査では異常がみられません。通常、膀胱炎は抗生物質を飲むと数日間でよくなりますが、間質性膀胱炎は良くなったり、悪くなったりを繰り返しながらだんだんと進行していることが多いようです。進行すると、トイレがものすごくちかくなったり、膀胱に痛みを伴うようになるなど、治療も難しくなります。間質性膀胱炎の治療では早期に見つけることが最も重要になります。
間質性膀胱炎を疑う症状はどのようなものでしょう? 以下のような症状がある方は要注意です!

検査と治療「膀胱水圧拡張術」
通常の状態では特に異常は見られない間質性膀胱炎ですが、もちろん優れた診断、治療法があります。それが「膀胱水圧拡張術」です。これは麻酔をかけて、膀胱の中に生理食塩水を注入することで固くなった膀胱を水圧でひろげる方法で、膀胱を広げた後に点状出血(間質性膀胱炎に典型的な所見)がみられれば診断が確定します。実はこの「膀胱水圧拡張術」は、検査であると同時にもっとも有効な治療法でもあります。
上記の症状に心当たりがある方や、ご心配な方は当院のウロギネコロジーセンターに相談してみませんか?
ウロギネコロジーセンター長 野村昌良

監修者
亀田総合病院 亀田京橋クリニック 亀田MTGクリニックウロギネ科部長・ウロギネセンター長 野村 昌良
【専門分野】
ウロギネ(泌尿器科と婦人科の中間にあたる分野:骨盤臓器脱、尿失禁)
排尿障害(間質性膀胱炎、過活動膀胱など)