尿もれはとても一般的な病気で、成人女性の3、4人に1人が経験すると言われています。多くの女性は「年のせいだから」とか、「どこに相談してよいかわからない」などの理由で諦めてしまっていると耳にします。しかし、日進月歩で医療は進歩し、尿もれは専門医による適切な治療により治る病気となりました。今回は尿もれの治療を中心に解説します。まず、尿もれを適切に治療するためには、尿もれのタイプを正確に診断することが重要です。なぜなら尿もれのタイプにより治療の方法が異なるからです。
急にトイレに行きたくなって間に合わない『切迫性尿失禁』の治療から説明します。これはおしっこをためる袋である膀胱が過敏になり、過剰な働きをすることにより起こる尿もれです。そこで切迫性尿失禁の治療には、過剰な働きを抑える抗コリン薬というお薬を使います。お薬による治療は症状によって薬の種類や量を調整することが必要となりますので、専門の医師とよく相談することをお勧めします。また薬による治療では改善しない切迫性尿失禁もあります。今まではこのような尿もれを治療するのは難しかったのですが、今ではいくつかの専門的な治療が可能になっています。是非、ウロギネコロジーセンターにご相談ください。
次に、女性に最も多い、咳やくしゃみ、立ち上がったときに起こる尿もれ『腹圧性尿失禁』です。この腹圧性尿失禁は、出産や加齢などによる骨盤底筋の緩みにより起こります。残念ながら緩んだ骨盤底筋を強くするお薬はありませんので、腹圧性尿失禁に対してお薬はあまり効きません。治療としては、緩くなった骨盤底筋を強くする必要があります。したがって腹圧性尿失禁の主な治療は骨盤底筋体操か手術になります。
骨盤底筋体操はおしりを締めるような運動で骨盤底筋を鍛える方法です。これは軽症の尿もれには効果がありますが、効果はあまり強いものではなく、かなり継続しないと効果が出てきません。またやめると元に戻ることもあります。しかし、この骨盤底筋体操はお金がかかりませんので、まずはお試しになられることをお勧めします。
そして手術による治療です。手術というとなにやら大げさな感じがしますが、尿もれはTOT手術というテープを使う簡単な手術ですっきり治ります。手術時間は15分程度で改善率も90%と有効です。お腹を切るのではなく膣のところを7㎜くらい切開して行います。手術して翌日におしっこの管を抜いて、翌々日には退院できます。骨盤底筋体操が続かない、効果がイマイチだった方や尿もれをすっきり治したい方、中等症から重症の方はTOT手術がお勧めです。是非、ウロギネコロジーセンターにご相談ください。治療された患者さまからは、「こんなに簡単に治るのだったら早く手術をしておけばよかったよ」という声が多く聞かれます。基本的に尿もれは放っておいてよくなる病気ではありません。尿もれとの別れは一歩踏み出す勇気です。皆さんも一歩踏み出してパッドのない快適な生活をとりもどしてみませんか!

ウロギネコロジーセンター長 野村昌良

監修者
亀田総合病院 亀田京橋クリニック 亀田MTGクリニックウロギネ科部長・ウロギネセンター長 野村 昌良
【専門分野】
ウロギネ(泌尿器科と婦人科の中間にあたる分野:骨盤臓器脱、尿失禁)
排尿障害(間質性膀胱炎、過活動膀胱など)