スポーツ医学科の連載も今回が最終稿になりました。最終稿では、日本で開催される超ビックなスポーツイベントの紹介と、スポーツ医学科スタッフがこれらのイベントにどのように関わるかを紹介させていただきたいと思います。
ラグビーワールドカップ2019日本大会

ラグビーワールドカップは4年に1度行われる「ラグビー世界一」を決める大会です。9月20日、「ラグビーワールドカップ2019日本大会」がいよいよ開幕します。オリンピック・パラリンピック、サッカーワールドカップに次ぐ、世界三大スポーツイベントの一つに数えられ、第1回大会は1987年に開催されました。今回は第9回で、アジアで初の開催となります。日本代表(愛称ブレイブブロッサム)は、前々回大会までは通算1勝21負2分という成績でありました。しかし前回のイングランド大会で、優勝候補の南アフリカを撃破し、スポーツ史上最大の番狂わせとして世界に報道されました。今大会は地元日本での開催であり、日本代表ブレイブブロッサムの活躍への期待は高まる一方です。
当院にもラグビーチーム(愛称タートルヘッズ)が存在し、ビーチや体育館にて練習しております。私(服部)は2017年の女子ラグビーワールドカップ大会にチームドクターとして帯同しました。今大会では、開幕戦の日本vsロシア、準々決勝、準決勝のマッチドクターを担当します。マッチドクターと聞くと馴染みのない言葉かもしれません。ラグビーは激しいコンタクトスポーツのため脳しんとうや出血など、途中で退場せざるを得ない外傷が発生します。それらをみて「退場すべき」か「プレー続行可能」かを判断するのがマッチドクターの役割です。ワールドカップという大舞台で、命がけでプレーする選手に対して「退場」「続行」を判定するのは重責です。ただ、やることはスポーツ医として日頃診察室で行っていることと同じです。日々の診療の中で、怪我をして診察室に来た選手に、続行か中断かという判断(診断)を正確に行うよう心掛けております。この大舞台でも正確な判断ができると確信しております。
東京2020 オリンピック・パラリンピック
オリンピックもラグビーワールドカップと同様に4年に1度行われるスポーツの祭典です。歴史は古く2800年前に起源を辿ることができます。パラリンピックは、障がいのあるアスリートが出場するスポーツの祭典です。こちらも4年に1度、オリンピック競技の終了後に同じ場所にて開催されます。オリンピックの精神に「スポーツを通して心身を向上させ、文化・国籍などさまざまな違いを乗り越え、友情、連帯感、フェアプレーの精神をもって、平和でよりよい世界の実現に貢献すること」とあります。またパラリンピックの理想は「I'mPOSSIBLE」という言葉で表現されます。不可能(Impossible)だと思えたことも、考えて工夫すれば何でもできるようになる(I'mpossible)という意味です。みなさんご存知のとおり、来年7月22日~9月6日の期間、東京にて夏季オリンピック・パラリンピックが開催されます。背景にあるオリンピック・パラリンピックの理想に留意しながら、アスリートの活躍を応援していただきたいと思います。
スポーツ医学科の大内医師・山田医師・服部はオリンピック・パラリンピック選手村内のポリクリニック(医療施設)にて勤務する予定となっております。ポリクリニックは、亀田クリニックが選手村に設置されるようなもので、整形外科のみならず、内科、救急、歯科などの科が設置され、超音波検査、レントゲンなどの画像診断も可能です。またスポーツ医学科のPA(フィジシャンアシスタント)やリハビリのスタッフも、IOC(国際オリンピック委員会)が認定する資格(Diploma)を2年間かけて取得し、やはり選手村内にて活躍する予定となっております。という訳で来年の7月~8月の期間はスタッフが手薄になりご迷惑をお掛けいたします。ただこの一生に一度のイベントに関わるのは我々の本望ですのでどうかご容赦ください。
スポーツ医学科の連載も今回で終了となります。半年間ありがとうございました。
スポーツ医学科のご案内スポーツ医学科 服部惣一

監修者
亀田総合病院スポーツ医学科 主任部長 大内 洋
【専門分野】
<膝関節>前十字靭帯手術、半月板手術
<肩関節>腱板断裂手術、肩関節脱臼手術
<その他>関節鏡手術(肘、足)、スポーツ整形外科、再生医学