多くの方が、定期的な健康診断や人間ドック、内科受診等で内臓の状態を把握している一方で、運動器(関節、筋肉、腱、靭帯、骨)の状態を把握されている方はどれくらいいらっしゃるでしょうか。
メタボと診断され、日常的にウォーキングやサイクリングといった運動を開始したいにも関わらず、ひざの痛みが不安、どれくらいの強度で運動したらいいかわからないなどの声が聞かれることが多くあります。また、ランニングを始めたのに、関節の痛みで継続できず断念したり、趣味のスポーツのパフォーマンスがなかなか上がらず悩んでいる方もいると思います。
そんな悩みがある方へ、現在開発中の「スポーツ版人間ドック」はいかがでしょうか?運動器の調子が悪い、不安がある場合には、何らかの原因があります。原因を知らずに痛み止めなどで無理に状態を改善させるのではなく、原因を「自分で」改善させる方法を一緒に考えませんか?
- スポーツによるケガ、痛みを減らしたい
- 安心してスポーツを楽しみたい
- スポーツにおけるパフォーマンスをアップしたい
- ダイエットや生活習慣病の予防・改善のために運動したい
このような方を対象に、通常の人間ドックや簡易的な内科チェックに加え、スポーツ版人間ドックでは以下のような運動器の検査を進めていきます。
1)からだの組成のチェック
一般的な身長、体重に加え、体脂肪率や筋肉量といったからだの土台となる組成を専用の機器を用いて測定します。運動のパフォーマンス向上や、生活習慣病の予防・改善にはからだの組成を知ることがスタートになります。
2)からだの柔軟性チェック
からだの柔軟性が低下すると、筋肉や腱の伸びや関節の可動域が低下します。その結果、腰痛やひざ痛、五十肩などが起きたり、姿勢が崩れることも。捻挫や肉離れなどのケガも起こりやすくなり、スポーツにおけるパフォーマンスにも影響します。加齢やデスクワークなどで凝り固まったからだの柔軟性の弱点を知りましょう。

3)体力測定/動きチェック
機器を用いた筋力測定や、スクワット、台からの立ち上がりテストなどから個人の動きの特徴、弱い部分を評価します。関節に負担がないバランスの取れた正しい動きを身につけ、ケガの予防をしましょう。
4)有酸素系持久力検査(オプションの予定)
有酸素系持久力検査では、連続呼気ガス分析装置を用い、AT(Anaerobic Threshold:無酸素性作業閾値)を測定します。ATとは「少なくとも30分以上、余裕を持って運動できるかどうか」という境目の運動強度のことで、現在全身持久力の指標としてマラソン選手などを中心に世界的に広く用いられています。さらに検査中は呼気ガスの分析に合わせて心拍数の計測と運動負荷心電図も測定し、運動中の心機能を評価して安全な運動の強度をアドバイスします。
5)画像診断(オプションの予定)
超音波による簡易的な関節評価や、ご希望に応じてエックス線(レントゲン)などの画像診断もいたします。
6)スポーツ医による診察
内科的な結果の説明はもちろんのこと、スポーツ医学科の医師による全身の運動器評価を行い、現在の痛みの原因、今後起こりうる問題点などについてご説明します。
このような検査の結果から、ストレッチ指導、姿勢指導、機能改善のためのエクササイズをオーダーメイドでトレーナーや医師が直接指導いたします。
スポーツのレベルは問いません。少しでもからだを動かしたいと考えている方であればどなたでもOKです。
現在システムを軌道に乗せるための調整中で、できれば来年度を目標にこのスポーツ版人間ドックを計画していく予定です。詳細は亀田スポーツ医科学センターのサイト(https://www.kameda.com/pr/kameda_ssm/index.html)でお知らせいたします。楽しみにしていてください!もちろん痛みでお悩みの方はいつでもスポーツ医学科外来でお待ちしています!
スポーツ医学科 蔵本理枝子

監修者
亀田総合病院スポーツ医学科 主任部長 大内 洋
【専門分野】
<膝関節>前十字靭帯手術、半月板手術
<肩関節>腱板断裂手術、肩関節脱臼手術
<その他>関節鏡手術(肘、足)、スポーツ整形外科、再生医学