かめだPOST スポーツ)筋力が落ちるってどういうこと?

筋力が落ちるってどういうこと?

筋肉には、体を動かすための「骨格筋」、内臓を作っている「平滑筋」、心臓を作っている「心筋」の大きく分けて3種類があります。このうち骨格筋に関しては市販の体重体組成計でだいたいの骨格筋率を測ることができます。体に微弱な電流を流し、その抵抗値を計測して脂肪や筋肉率などの体組成を推定する方法でBI法(Bioelectrical Impedance<生体インピーダンス>法)と呼ばれています。脂肪は電気をほとんど通しませんが、筋肉や血管など水分の多い組織は電気を通しやすいという性質を利用して、脂肪とそれ以外の組織の割合を推定しているというわけです。骨格筋率というのは体重に占める骨格筋の割合のことで男性では33%~36%、女性では26%~28%が標準であるといわれています。また、「年をとったら筋力が急に落ちた」というお話を皆さんからよくお聞きしますが、加齢に伴い筋肉量は40歳くらいから低下します。筋肉を構成する筋繊維でみると、その数は20歳代に比べ80歳代で半減するといわれています。加齢に伴ってもろく弱くなった筋肉をサルコペニアといい、高齢者の転倒や寝たきりの原因にもなっています。

筋肉の衰えを防ぐ方法としては、とにかく運動が一番。下肢の筋肉量は上肢と比べて加齢に伴う低下率が3倍高いといわれていますので、とくにウォーキングやジョギングなどを習慣にすることで下肢の筋肉を鍛えることを心がけておきましょう。時間があっても目標がなかなか定まらない皆さんには、私は市民マラソン・ハーフマラソン大会への挑戦をおすすめしています。県内には毎年1月に館山市で開催される「若潮マラソン」、3月に富津市で開催される「千葉県民マラソン」、秋にいすみ市で開催される「いすみ健康マラソン増田明美杯」、2年に1度アクアラインを直接走ることができる「ちばアクアラインマラソン」などの個性豊かな大会があり、県外からも毎年多数のエントリーがあります。競技を通じて仲間の輪が広がり、人生が楽しくなります。(60歳代をこえてからチャレンジされている方もおられます!)まずは完走を目標に日々のトレーニングを積んでみるのがよいでしょう。

運動とともに筋肉づくり・サルコペニアの予防で大切になるのがタンパク質の補給です。ご飯などの糖質によるエネルギー補給に加え、肉・魚・豆類などタンパク質が豊富な食品をしっかり摂ることをおすすめします。

筋力低下の原因は加齢だけではない?

年をとったら筋力は確かに落ちるものです。しかし筋力低下以外のほかの症状を伴っていたり、年齢不相応に筋力低下が起こっていたり、とくにそれが外傷(けが)が原因でない場合に筋肉や骨以外に何らかの病気が隠れている可能性があります。「急に症状が進んでいる」「疲れやすい」「からだの一部分だけが力が入らない」という場合は要注意です。

内科医から見た筋力低下の原因となるおもな病気

内分泌疾患 甲状腺機能亢進症・低下症、周期性四肢麻痺、副甲状腺機能亢進症、クッシング症候群、アジソン病、糖尿病性筋萎縮症など。
電解質異常 低カリウム血症、低マグネシウム血症、低ナトリウム血症、低カルシウム血症など。
神経筋疾患 重症筋無力症、Lambert-Eaton症候群、Guillain-Barre症候群、筋ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症など。
自己免疫性疾患 皮膚筋炎/多発性筋炎、血管炎、リウマチ性多発筋痛症、線維筋痛症など。
そのほか 貧血、悪性腫瘍、種々の薬剤の副作用など。

「急に体重が減った」「食欲が減った」などの症状が伴っている場合は最後の項目に記した悪性腫瘍の可能性があり、血液検査やCT、MRIなどの画像検査や場合によって胃カメラ・大腸カメラなどの内視鏡検査を早めに受けることをおすすめします。亀田クリニックには検査室や各科の院内連携でこのような病気の検査を受けられる環境や設備が整っています。原因が加齢だけではなさそうな筋力低下やそれ以外の症状が伴っていれば一度受診をしてみてください。

スポーツ医学科のご案内

総合内科 竜 彰

監修者
亀田総合病院
スポーツ医学科 主任部長 大内 洋

【専門分野】
<膝関節>前十字靭帯手術、半月板手術
<肩関節>腱板断裂手術、肩関節脱臼手術
<その他>関節鏡手術(肘、足)、スポーツ整形外科、再生医学

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