骨粗しょう症は骨が脆くなり、折れやすくなっているため、“転ばない”ということが大事になってきます。当たり前の話ではありますが、“転ばない”ためには足腰の力を弱らせないことが必要です。しかし、皆様の中には、年齢を重ねて足腰が弱るのは普通ではないかとお考えの方も多いのではないかと思います。そこで、近年話題となってきている一つの言葉を挙げたいと思います。それは、「サルコペニア」という言葉です。
どのような意味がこの言葉に隠れていると思いますか?
実は、ギリシャ語でサルコは「肉」、ぺニアは「減少」という意味があり、筋肉が減少するということを表した造語です。つまり、年齢を重ねることで筋肉が減り、衰えることを病気としてとらえた概念です。
では、どのような方が当てはまるのでしょうか?
サルコペニア診断
- 年齢:65歳以上
- 握力:男性26kg未満・女性18kg未満
- 歩行速度低下:横断歩道を青信号で渡りきれない8m歩くことに10秒以上かかる
- 筋肉量低下:病院で検査実施
年齢が65歳以上で、握力(男性26kg未満・女性18kg未満)や歩行速度が低下しており、病院の機器で筋肉量を測定して、筋肉量の低下もみられた場合に診断されます。歩行速度は、日常生活の中で例えるなら、横断歩道を青信号のまま渡りきれる方は大丈夫ですが、青信号で渡りきれない方は、歩行速度が低下している可能性があります。
筋肉を守るためには、どうしたら良いのでしょうか?それはまさに、「運動」です。
運動は筋肉を増やしたり・太くするだけでなく、骨も丈夫にすることができます。つまり、骨折を防ぐこともできます。
足腰の力を弱らせないために、有効な運動を2つご紹介したいと思います。


写真①のように片足立ちの体操では、机や壁などを手で支えながら実施しましょう。左右ともに各1分間、1日3回行いましょう。他にも、よく知られているスクワットがあります。写真②のように机などの固定されているもので支えながら、足を肩幅より少し広めに開いて、つま先は30度程度開きます。膝が直角程度となるように曲げます。膝がつま先の方に行くように、ゆっくり膝を曲げ伸ばしします。5~6回を1日3回行いましょう。膝の痛みがある方は無理して行わないようにしましょう。
運動は無理せず、継続することが大事です。皆様の生活リズムに合わせて、取り入れていってください。
脊椎脊髄外科のご案内亀田総合病院 リハビリテーション室 石川修平
