
大 : 後藤先生、よろしくお願いします。先生は自分自身もサッカーをするのですよね?サッカー選手に多いけがに関して教えてもらえますか?
後 : スポーツ医学科の後藤達広です。今回はサッカーのけがについてのお話しということでインタビューしてもらい有り難うございます。質問に関してですが、サッカーは激しい接触プレーがあるスポーツですので様々なけががつきもので す。その中でも靭帯損傷や鼠径部痛症候群が多いのでこれらについてお話しします。
大 : 靱帯を切ってしまう選手は多いのですか?どの靱帯を切りやすいのですか?
後 : 膝や足首の靱帯を切る選手が大変多いです。そして膝の靭帯損傷は重症になりやすいのが特徴です。
大 : 膝の中でも特にどの靱帯が切れやすいのですか?
後 : そうですね、特に膝の前十字靱帯損傷が多いです。カターニアの森本が手術したのもこの靱帯です。彼は去年からやっと調子を取り戻してきましたが、元のパフォーマンスに戻るのに時間がかかりましたね。この手術はやはりきちんとしたリハビリを受けることが大切です。他にも、小野や城、海外の有名どころならブラジルのロナウド、バッジョ、デルピエロ、オーエンも前十字靭帯損傷を起こしてしまいました。
大 : 他にはどんなけががサッカーでは多いのですか?
後 : 特に慢性的に痛みが出る疾患である鼠径部痛症候群(別名グロインペイン症候群)がサッカーでは有名です。中村俊輔と福田はこれに対してドイツで手術をしました。
大 : 鼠径部痛症候群とはどんな症状を言うのですか?
後 : Jリーグ発足当時は恥骨結合炎が原因とされていました。しかし最近、この疾患は腹直筋や内転筋などいくつかの骨盤周囲の筋が骨につく部分の病変が原因とも言われており、原因が一つでないことがわかってきました。だから「症候群」とよばれているのです。
大 : サッカー選手に特有の診断が難しい疾患ですね。それではサッカー選手が一般的にけがを予防するためにはどのようなことに注意すればよいですか?
後 : バルセロナ(アルゼンチン代表)のメッシは去年から肉離れなどのけがが少なくなったのですが、彼の例を挙げると、
・魚、野菜、果物を多く摂る
・チームによる食事の管理をする
・理学療法士によるマッサージや疲労度を測る
定期的な検査を受けるというプログラムをクラブがメッシのために特別に作ったようです。
このようなマネージメントにより、けがが予防できチームも好調さを保つことができるということです。
大 : サッカー選手に限らずけがを予防する上で大切なことは規則正しい食生活と専門家による体調管理と言うことですね!
後 : そうです。もちろん正しくストレッチや筋力トレーニングを行うことも重要になってきます。そういった形でも当院のスポーツ医学科がお手伝いできたら幸いです。
大 : そうですね。今回はどうも有り難うございました。
スポーツ医学科 大内洋

監修者
亀田総合病院スポーツ医学科 主任部長 大内 洋
【専門分野】
<膝関節>前十字靭帯手術、半月板手術
<肩関節>腱板断裂手術、肩関節脱臼手術
<その他>関節鏡手術(肘、足)、スポーツ整形外科、再生医学