出生前検査を行うことにより、妊娠中の胎児について、生まれる前に先天性疾患(生まれつきの体や機能の変化)の一部を調べることができます。
出生前検査の種類と特徴
出生前検査は、染色体疾患を対象とするものと、胎児の形態異常を対象とするものがあります。
①染色体疾患を対象とした出生前検査
確定的検査(※1)と非確定的検査(※2)に分けられます。確定的検査の特徴は、直接的に染色体を見るため診断が確実になる一方で、お腹に針を刺す必要があるため、検査時に胎児や臍帯を傷つける可能性があり、流産リスクがあります。一方、非確定的検査は採血や超音波による検査のため、体への負担はなく、流産のリスクはありませんが、あくまで先天性疾患の可能性を判定するものになります。非確定的検査で胎児に染色体疾患が疑われた場合には、確定的検査でさらに詳しく調べることができます。個人によって、知りたいことは異なるため、初めから確定的検査を選択する方もいます。
②胎児の形態異常を対象とした出生前検査
一般妊婦健診とは別に超音波専門医が時間をかけて丁寧に胎児の形を診ることで一般妊婦健診よりも詳細に確認することができます。
出生前検査について考えてほしいこと
複数の出生前検査のうち、妊婦さんとそのご家族が、何を知りたいか、知ってその後どうしたいのかを話し合いながら検査を選択します。赤ちゃんについて知ることは、妊婦さんにとって安心することもあれば不安になることもあります。治療や支援制度について事前に調べて出産への備えにつながる一方で、予期せぬ結果に妊娠の継続を悩むこともあります。妊婦さんとパートナー、ご家族がどういう考えで赤ちゃんを授かり、育てていくのかにより、出生前検査を受けるかどうか、また検査内容もそれぞれです。納得できるまで話し合った上で決定することが大切です。
出生前検査は検査時期に時間の制限がある中で、多くのことを考慮する必要があるため、専門の医師、遺伝カウンセラーがいつでも患者さまのお気持ちに寄り添い、その決定を全力でサポートいたします。
【参考資料】
- 日本産婦人科学会HP.「4.一般超音波検査と精密超音波検査」
- 出生前検査認証制度等運営委員会HP.「超音波マーカーの検査・コンバインド検査」
- 厚生労働省HP.「NIPT等の出生前検査に関する情報提供及び施設(医療機関・検査分析機関)認証の指針」
検査の名前 | 分類 | 方法 | 検査推奨時期 | 対象疾患 | 結果 | 流産リスク |
---|---|---|---|---|---|---|
羊水検査 | 確定的検査※1 |
妊婦さんのお腹に針を刺す |
15週以降 |
23対46本の全ての染色体の構造や数の変化を見る |
約0.3% |
|
絨毛検査 | 11~14週 |
約1% |
||||
超音波マーカー | 非確定的検査※2 |
マーカーをみる超音波 |
12週頃 |
ダウン症候群 1 8 トリソミー 1 3 トリソミー |
確率 |
なし |
コンバインド | 超音波+採血 |
|||||
NIPT | 採血のみ |
10週頃~ |
陰性 陽性 判定保留 |
|||
母体血清マーカー | 17週頃 |
ダウン症候群 1 8 トリソミー 開放性二分脊椎 |
確率 |
|||
胎児形態超音波 | ー |
詳細にみる超音波 |
11~13週頃(初期) 18~20週頃(中期) |
各臓器の形態、大きさ、動きなど様々な項目を評価する |
なし |