かめだPOST 腎臓病)血液透析

皆様こんにちは。腎臓高血圧内科の川地惇朗と申します。今回は腎不全の患者さまに対する腎代替療法の一つ、血液透析についてご紹介したいと思います。

腎不全とは?

腎臓にはいろいろな機能があります。私たちは当たり前のようにトイレにいって用を足しますが、その裏には24時間、年中無休で働いている「腎臓」がいるのです。
「不要な水分やミネラル、毒素などを尿の中に排出する」といった腎臓の代表的な機能がなくなってしまった場合どうなるでしょうか。
腎不全の症状としては、体のむくみ、食欲がない、倦怠感などの症状が出てくることがあります。時にはカリウムといわれるミネラルが体に溜まり、心臓が止まってしまうような怖い不整脈を起こすこともあります。これらは腎不全が末期に近づかなければなかなか出てきません。
腎不全があるとCr(クレアチニン)という筋肉からできる老廃物が体内に溜まってきます。このCrと年齢から計算した指標としてeGFRという数値があります。簡単に説明すると、eGFRは腎臓がどれくらい濾過できているかを表す指標であり、100点満点の数値です。これが15を下回ってくると、一番進行したステージ5の腎不全です。

血液透析

腎不全に伴う症状や検査値の異常が出てきた場合、利尿薬やカリウムを下げるお薬を使うことがありますが、それでもなお改善しない場合には腎臓の代わりになる治療を考えなければいけません。
私たちは「腎代替療法」という言い方をしますが、この中には、血液透析、腹膜透析、腎移植という3つの方法が含まれています。現在、腎代替療法として最も普及しているものが「血液透析」です。
血液透析では、血管に針を2か所刺して、1か所から血液を取り出し、ダイアライザーといわれる機械を通して不要な成分や水分を除去して、もう1か所から体内に戻す作業を行います。
血液透析では1分間に200㏄もの大量の血液を取り出す必要がありますので、普通の採血や点滴を行う血管では十分な血液を取り出すことができません。そのため「シャント」といわれる血管をつなぎ合わせる手術が必要になります。

採血や点滴で針を刺しているのは、体の表面にある静脈といわれる血管ですが、手首の親指側にある、指で触れるとドクドクと脈打つ血管を動脈といいます。静脈と動脈をつなぎあわせると、動脈からたくさんの血液が静脈に流れ込み、体の表面の静脈が太く発達してくることで血液透析に使用することができるようになります。
血液透析は週3回(月水金、あるいは火木土)、1回4時間ほどかけて行うことが一般的です。もちろん残った腎臓の機能や、その患者さまの体格などに応じて適宜調整することもあります。
たくさんの血液を、時間をかけてキレイにしても、残念ながら年中無休の腎臓の完全な代わりになることはできませんので、食事や水分などの管理が重要となってきます。

私たち腎臓内科医は慢性腎臓病の管理を行いつつ、腎代替療法が必要になった場合には適切に移行できるようにサポートいたしますので、何か気になることがありましたら腎臓高血圧内科外来までお越しください。

監修者
亀田総合病院
腎臓高血圧内科 部長/腎移植科 内科担当責任者 鈴木 智

【専門分野】
腎疾患全般、特に腎炎、腎病理

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