かめだPOST 腎臓病)急性腎障害と急速進行性腎炎症候群

皆様、こんにちは。腎臓高血圧内科の登石 匠と申します。今回は急性腎障害と急速進行性腎炎症候群についてお話しさせていただきます。

急性腎障害とは?

急性腎障害(AKI)とは、数時間~数日の間に腎臓の機能が急激に悪化する病気です。
この病気にかかると、尿から老廃物を排泄できなくなり、さらに体の水分や塩分を調整できなくなります。尿が急に出にくくなると思われるかもしれませんが、実は尿の量は大きく変化がないケースもあります。他の症状としては、急激なむくみや息切れ、倦怠感、血尿などが出現します。場合によっては、生命の危機に関わるため、早急な対応が必要になります。

こんな時は急性腎障害を疑いましょう

・急に尿が出なくなった
・急に体がむくんできた(1日中、ずっとむくんでいる)
・急に息切れしてきた
・急に血尿が出てきた

原因

原因は多岐にわたります。熱中症などの脱水や血圧の低下、前立腺肥大症や尿路結石で尿の流れが悪くなることが原因のもの、腎臓そのものの病気、免疫系の病気や薬の影響、細菌やウイルス感染に由来するもの、血液の病気に関するものなど様々です。当院は多くの診療科があるため、本当に色々な原因で受診されます。
また普段は安全な常用薬でも注意が必要です。なかには体調不良で食事が取れない時や熱中症気味の時に飲み続けると腎障害をきたす薬があります(血圧の薬や鎮痛薬、糖尿病の薬など)。風邪や胃腸炎、コロナ感染などで食事が満足に取れない際は主治医に連絡し、薬を飲み続けて良いのか確認することをおすすめします。
このように急速に腎臓の機能が悪くなる急性腎障害ですが、回復できるかどうかは原因と診断できた時期にもよります。場合によっては慢性腎不全や末期腎不全に移行し、腎臓内科外来や透析への通院が必要になることもあります。第2話で紹介した慢性腎臓病とも共通することですが、腎臓病に関しては早期発見・早期治療が非常に重要です。体調の変化を認めた際は早めの受診をご検討ください。

急速進行性腎炎症候群とは?

急性腎障害のなかでも、特に進行が早く注意が必要な病気をまとめて、急速進行性腎炎症候群(RPGN)と言います。具体的には、ANCA関連血管炎、抗糸球体基底膜腎炎などがあります。
特徴としては、発熱や手足のしびれ、皮疹、肺の症状(咳や息切れ、血痰)の症状があります。腎臓だけではなく肺の症状や全身症状が出ることが多いのが特徴です。
名前のとおり病気が急速に進行するため、早急に診断・治療を行わないと腎臓に致命的なダメージが加わり、あっという間に透析治療が必要になってしまいます。免疫系の病気のため、治療はステロイドなど免疫を抑える薬剤を複数使います。場合によっては悪さをしている物質を取り除くために血けっしょう漿交換という透析のような治療を行うこともあります。

こんな症状が急速に出てきたら早めに医療機関を受診しましょう

監修者
亀田総合病院
腎臓高血圧内科 部長/腎移植科 内科担当責任者 鈴木 智

【専門分野】
腎疾患全般、特に腎炎、腎病理

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