皆様、こんにちは。腎臓高血圧内科の登石 匠と申します。今回は慢性腎臓病についてお話しさせていただきます
慢性腎臓病とは?
慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease: CKD)という言葉をご存知でしょうか?
様々な腎臓の病気が原因で、腎臓の機能の低下が続く状態のことを慢性腎臓病と言います。日本では現在、成人の約8人に1人が発症していると言われ、新たな国民病として徐々に認識されてきています。最近では日本腎臓財団が「島耕作」を宣伝部長に起用したCMが記憶に新しいでしょう。
慢性腎臓病の特徴としては、進行性、症状が出にくい、発症に決まった年齢はない、他の怖い病気のリスクになることが挙げられます。
病状の進行と現れる症状
慢性腎臓病は進行するとむくみや食欲低下などの症状が出ますが、そのような症状はずいぶん進んでからしか出てきません。皆さんの気づかない所で静かに進行していきます。怖いですよね。人によっては20~30代の若い年代から発症する方もいます。
さらに進行すると、おしっこを自分で作れなくなり、透析や腎移植が必要となる末期腎不全の状態にまでなってしまいます。慢性腎臓病が進行すると、塩分はもちろん、果物や野菜、乳製品なども制限されてしまい、好きなものを満足に食べられなくなる可能性もあります。
また、慢性腎臓病は他の病気のリスクにもなり得ます。慢性腎臓病をお持ちの方はそれだけで、危険な心筋梗塞・心不全・脳卒中の発症リスクが上がります。腎臓をケアすることで長生きにもつながるのです。
原因
慢性腎臓病の原因として、高血圧や糖尿病、高コレステロール血症など生活習慣病から腎臓が悪化する割合が増えていることも、現代の国民病として見逃せません。生活習慣病の他には、タバコを吸っている、ロキソニンなどの鎮痛薬をいつも飲んでいる、塩辛いものが大好き、家族に腎臓病の方がいることなどがリスクになります。
日常生活のなかで何気なく行っていることが、実は腎臓にダメージを与え続けている可能性があるため、注意が必要です。
こんな人は要注!!
- タバコを吸っている
- メタボリックシンドロームである
- 高血圧、糖尿病、肥満などの生活習慣病がある
- 過去に心臓病や腎臓病になったことがある
- 高齢者である
- 運動を全くしない
- 塩辛い食べ物が大好き
- 鎮痛剤を常用している
- 家族に慢性腎臓病の人がいる
- (公益財団法人 日本腎臓財団「慢性腎臓病(CKD)予防のために」より抜粋)
早期発見するために
このような怖い慢性腎臓病ですが、一般的な健康診断(採血や尿検査)で簡単に診断することができます。またある程度進んでしまうと腎臓についた傷は元には戻りませんが、早期発見・早期治療をすることで進行を遅らせることや、治すこともできます。
私たちの外来では、よく慢性腎臓病の患者さまを診察しますが、「長年健康診断を受けていない」「血圧や糖尿病を放置している」「ドックで指摘されたが忙しくて来られなかった」など様々な理由で治療が遅れ、来院した時にはかなり病状が進んでいるケースによく遭遇します。自覚症状がないからこそ、自分で検診を受けに行くということが自分を守る唯一の手段となります。
笑顔で自分の人生を謳歌するためにも、「島耕作」の言う通り、まずは検診を受けに行ってみてはいかがでしょうか。
