かめだPOST 遺伝)出生前検査とは?(1)

臨床遺伝科をご存知ですか?

当科では、遺伝に関するご相談がある方に対して、遺伝カウンセリングおよび遺伝学的検査を実施しています。
質の高い臨床遺伝医療を提供するため、遺伝カウンセリングでは遺伝がかかわる病気の知識と遺伝相談の経験をもつ医師や認定遺伝カウンセラー®が、相談にこられた方やご家族の病気の状況をお聞きし、それに基づいて遺伝性の可能性がどれくらいあるのか、遺伝学的検査や治療などの様々な選択枝について話し合います。また、ご本人がその疾患についてどのように思っているのか、どれくらい理解しているのかを伺いながら、疾患に関する情報、遺伝に関する情報、患者さまを支援する社会的資源に関する情報などをお伝えし、不安や心配事のご相談にも対応いたします。
臨床遺伝科が主に取り扱う出生前検査や遺伝性腫瘍に関する相談のうち、今回の連載では出生前検査について全4回でご紹介します。

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出生前検査とは?

妊婦健診をはじめ、妊娠中には様々な検査があります。出生前検査はお腹の中の赤ちゃん(胎児)の状態について知る検査です。目的は胎児の状況を把握し、将来の予測を立て、その家族の将来設計に係わる意思決定を支援することです。妊婦さんとご家族は正しく検査について理解したうえで、受けるか受けないか、受ける場合には検査内容を決めることができます。
出生前検査は周産期および胎児超音波の専門医師が担当し、もし検査の結果、胎児に特別なサポートが必要とわかった場合には、専門科の医師とも連携し、産後のフォローまで繋げていきます。

先天性疾患について

両親の年齢や状況に関係なく、生まれてくるすべての赤ちゃんの3~5%は何かしらの生まれつきの特徴をもっており、それらを先天性疾患と呼びます。先天性疾患は症状の重症度の幅が広く、同じ疾患名で診断されたとしても人によって表現度が異なります。個性の範囲といえるものから、妊娠中や出産直後、もしくは長期にサポートが必要なものまで様々です。例えば、神経線維腫症Ⅰ型の場合、皮膚がんや脳腫瘍、発達の遅れなどさまざまな症状がありますが、症状が出現する年齢も人によって違いますし、症状も皮膚にシミが多いだけという方もいます。原因がわかっていない疾患が多い一方、染色体や遺伝子の変化、薬剤・放射線・感染症などの原因がわかっている疾患もあります。
出生前検査では、主に染色体が原因の疾患(染色体疾患)について調べることができます。妊娠中に胎児の状態がわかることで、経過をより丁寧に診ることや、出産直後の迅速なサポートにつなげられることもあります。しかし、生まれてみて初めて判る疾患もあるため、検査して診断がついたとしても生まれた後の状況についてすべてを予想できるものではありません。

監修者
亀田総合病院
産婦人科部長代理、周産期科部長代理、臨床遺伝科 部長代理 末光 徳匡

【専門分野】
産婦人科・周産期医療・胎児超音波

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