かめだPOST リンパ浮腫と体重コントロール ~(1)身体組成と運動強度~

亀田総合病院のリンパケア外来では、圧迫療法やリンパドレナージの指導以外に、運動療法の指導にも力を入れています。

乳がんや子宮がんなどの手術後におこる続発性リンパ浮腫の誘因は、病気の状態の他に感染(蜂窩織炎)や過度な四肢への負担、肥満・体重増加があげられます。また、肥満はリンパ浮腫のリスク因子だけでなく、乳がんとの関係も言われています。体重の増加は、長期間の摂取カロリー が消費カロリーを上回ることで起こります。特に、体重コントロールが必要な方はまずは食生活や運動習慣といった生活習慣の見直しを行いましょう。
その第1歩として、自分の身体組成を知り、立ち上がりテストで自分に合った運動強度を知ることから始めましょう。

チェック1 身長、体重から体格指数(BMI:Body Mass Index)を計算しましょう。

BMI BMI=□㎏÷□㎡
BMI 25(㎏/㎡)以上の方は要注意です。
適正体重 適正体重=(身長)㎡×22

適正のBMIは18.5~25未満、最も健康的なBMIは22と言われています。
栄養学では脂肪1gは9kcalで計算しますが、体の脂肪には約20%の水分が含まれているので、体の脂肪1gは7kcalで燃焼します。
1㎏の脂肪を落とすために必要なカロリーは7000kcal
3㎏の脂肪を落とすために必要なカロリーは21000kcalということになります。
この21000kcalを、目標期間に合わせて摂取カロリーと消費カロリーの差をどのように消費していくか計画を立てていくことになります。
BMI18.5~25未満でも、体脂肪率が30~35%を超える隠れ肥満の方もいます。その際は、筋力トレーニングが必要になります。

チェック2 徐脂肪体重(LBM:Lean Body Mass)を計算しましょう。

LBM LBM=体重-{体重×(体脂肪率)×0.01}
減量で大切なことは、徐脂肪体重(筋力など)を減らさずに体重を落とすことです。
体脂肪率は、ご家庭での体重計または病院で計測することが可能です。

チェック3 自分の脚力を知り適切な運動レベルを知りましょう。

反動をつけずに片脚で40㎝の高さ(一般的な椅子の高さ)から立ち上がれなくなったら要注意です!

片脚で40㎝の高さから立ち上がれることは、『歩行』『階段昇降』といった全荷重運動が問題なくできるということになります。反対に出来なかった場合、体重を支える筋力が足りず、過度なウォーキングを行うことで関節に負担がかかっているかもしれません。
がんと診断された後、活動量が低下するという報告もあります。また、 手術後はリンパ浮腫が怖くて日常生活が制限され結果的に、運動不足になることもあります。 上肢を使った筋力トレーニングを行っても、症状の増悪は見られなかったという報告も多くあります。
リンパ浮腫予防のための減量目的の運動は、上記の運動強度で体調に合わせて行いましょう。
しかし、リンパ浮腫を発症している方は、翌日に腕や脚の重だるさの増悪がないかチェックし、体調に合わせて行うようにしてください。まず、日常生活の中で日中座る時間が長い方は、座る時間を短くし、少しずつ活動量を増やしていくことから始めましょう。

今回は、まず自分の身体組成と筋力を知り、体重コントロールをしていく必要があるか、また、適切な運動強度は何かといったことをテーマにお話ししました。
次回は、もう少し詳しく目標設定や強度に合わせた運動をテーマにお話ししたいと思います。

監修者
亀田総合病院 亀田京橋クリニック
乳腺科医長/リンパ浮腫センター センター長 林 明辰

【専門分野】
癌術後リンパ浮腫、マイクロサージャリー、スーパーマイクロサージャリー

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