1. PET検査とは
「10年ほど前より、がんに対してペット(PET)という検査が行われるようになりました。
この検査はがんは「糖類を盛んに取り入れて成長のエネルギーにする」という性格を利用したものです。
検査ではFDGという糖類の一種の薬を静脈注射し、その糖の薬ががんに取り込まれたところをPETというカメラで撮影するものです。
2. 肺がんに対するPET検査
[図1]は右肺の異常陰影ですが、[図2]のPETでは正面像、側面像でがんに薬が取り込まれているのが判ります。
がんでなければ取り込まれる頻度は少ないのですが、がんであれば取り込まれる頻度が高いので、この病変はがんの可能性が極めて高いことが判ります。


3. 治療効果判定のためのPET検査
PETはがんの診断のみならず、放射線や抗がん剤治療の効果を判定できます。
[図3]は左肺の上の方にできた大きな肺がんです。[図4]の左側は放射線抗がん剤治療前のPET画像ですが、原発巣の周囲にも小さなリンパ節の転移が多く散在しているのが認められます。
それに対して放射線と抗がん剤治療を行ったところ、腫瘍への薬の取り込みが少なくなり、周囲のリンパ節転移が消えたことが判ります。
腫瘍への薬の取り込みが少なくなったことは、放射線と抗がん剤によりがんがダメージを受け、勢いが弱まったことを意味しています。この患者さまはその後手術を行い、現在も元気にしておられます。


4. PETによる手術後の抗がん剤の必要性の検討
PETで薬が多く取り込まれるがんは勢いが強く、あまり取り込まれないがんは勢いが弱いことが判っています。
[図5]は筆者が2004年に報告したものですが、薬の取り込みの強い肺がんは低い肺がんより生存率が低いことが示されています。
この結果より、薬の取り込みの強い肺がんに対しては術後の抗がん剤治療により再発を予防する必要があることが判ります。

文責:呼吸器外科 杉村 裕志
2019/7/5 更新
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