かめだPOST 呼吸器外)受動喫煙による害

1. 肺がん発生の頻度

厚生労働省が10年間に渡り9万人の既婚で煙草を吸わない女性の肺がん発生を調査しました。夫が吸わない女性の肺がんの発生を“1”とした場合、夫が以前吸っていた場合はその1.5倍、夫が現在も吸っている場合は2.03倍となりました[図1]。このように受動喫煙により肺がんの発生は明らかに高くなります。

2. 子供の呼吸器症状の悪化

家庭内受動喫煙により子供には様々な呼吸器症状が生じます。呼吸器症状として咳が1.4倍、痰が1.35倍、息切れが1.31倍、喘息が1.21倍に増えます[図2]。

3. 子供の学力低下

喫煙は思考能力を低下させます。受動喫煙している子供の尿からはニコチンが検出されます。この尿中のニコチン濃度と数学力および読解力を比べた米国の研究結果を[図3]に示します。尿中のニコチン濃度が増えるに従い、数学能力および読解力が明らかに低下してきます。喫煙をしている親は子供に「勉強しろ」と言う前に、自分が禁煙をしなくてはいけません。

4. その他の害

受動喫煙が影響するものとして、

  • 発育においては胎児の成長阻害による奇形
  • 呼吸器系に対する影響として肺炎、気管支炎
  • 発がんとして肺がんの他、副鼻腔がん
  • 小児の発がん、狭心症や心筋梗塞

があります。

5. 分煙の効果

家庭内あるいは職場の分煙はそれほど意味はありません。親が喫煙をする子供の尿中のニコチン濃度を測定した結果を[図4]に示します。

換気扇をつけっ放しにしてカレーを作っても家の中にカレーの匂いがするように、空気中のニコチンは家中に広がります。ドアを閉めて屋外で吸ったとしても衣服や吐く息にはニコチンが含まれており、それを子供は吸い尿中のニコチン濃度は上昇します。受動喫煙の恐ろしさが良く判る図ですね。
(※図の出典は全て、特定非営利活動法人 日本肺癌学会です)

文責:呼吸器外科 杉村 裕志
2019/7/5 更新

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監修者
亀田総合病院
呼吸器外科 部長 杉村 裕志

【専門分野】
呼吸器外科、内視鏡手術

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