乳腺の病気には線維腺腫、乳頭腫、葉状腫瘍、腺症、非浸潤がん、浸潤がんなど、様々なものがあります。
これらはおおむね、「治療しなければいけないもの」と「治療しなくてもよいもの」の2つに分けられ、
- 治療しなければならないものを悪性
- 治療しなくてもよいものが良性
と、大まかにいうことができます。
悪性の代表が乳がん。線維腺腫、乳頭腫、腺症などは良性になります。

悪性はそのままにしておくと
- 増大を続けて近接する構造に入り込んでいったり(浸潤)
- リンパや血流にのって離れた臓器に病変を作ったり(転移)
してしまうため、手術や薬、放射線などによる治療が必要になります。
一方で、良性は上に述べた浸潤や転移といった現象は起きません。
しこりが大きくなってしまった場合や乳首から分泌物がある場合など、症状がみられる場合にのみ、手術など治療の対象になります。
また、葉状腫瘍のように良性と悪性の両方があるものや、事前の検査で良性か悪性か、どうしても区別ができない場合(鑑別困難)、病変全体を取り出して(切除生検や摘出術といわれます)病理診断を行う必要があります。
一方、そもそも良性、悪性などの所見が存在しない場合、これを正常、と呼びます。
お読みいただきありがとうございました。
みなさまからご意見をいただき、分かりにくいところについては改訂をしてより分かりやすくし、また解説してほしい用語や知識があれば、教えていただければ幸いです。
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亀田総合病院 放射線科 部長、亀田京橋クリニック 診療部部長 兼務 町田 洋一
