はじめに
便失禁とは、おしりの筋肉や神経がうまく働かないなど排便を正常にコントロールできなくなる病気です。今回は便失禁の治療をする上で必要な検査についてお話しします。
外来ではまず患者さまの排便状況を詳しく問診をしていきます。その結果さらに専門的な検査を行っていきます。検査には肛門内圧検査、直腸感覚検査、肛門管超音波検査、排便造影検査があります。
肛門内圧検査
この検査は先端にセンサーのついた細い管をおしりの中に入れ、肛門のしまりを測る検査です(図1)。おしりに力をいれず安静にしている時のしめる力(肛門静止圧)と便を我慢するように力をいれて肛門をしめた時の力(肛門随意収縮圧)をそれぞれ測定します(図2)。


直腸感覚検査
肛門の奥、直腸内に入れた風船を膨らませて、どのくらいで排便したい感覚になるのか、どのくらい便意を我慢できるかを測定する検査です。先の肛門内圧検査と一緒に行います。
肛門管超音波検査
超音波検査によって肛門の筋肉(肛門括約筋)に損傷がないかを確認する検査です。(図3)

排便造影検査
肛門内に擬似便と呼ばれるバリウムを入れ、排出するところをレントゲン撮影する検査です。便失禁の原因には肛門近くの腸管壁がたるみ肛門内へ落ち込む(直腸重積症)や肛門の外にでてくる(直腸脱)があり、これらを見つけることができます(図4)。

便失禁の患者さまがどんな肛門の障害があるのか検査で調べることは有効な治療を見つけてゆく過程でとても大切なことになります。次回は便失禁の治療についてお話しします。
直腸肛門外来のご案内
https://medical.kameda.com/general/medi_services/index_101.html亀田総合病院 消化器外科部長 高橋知子
