かめだPOST 血管造影検査

1. 血管造影とは

通常のエックス線撮影では、骨などの硬いものはよく写りますが、臓器・血管・筋肉などの軟部組織はその形態や機能を判別することは困難です。
そこで、検査目的となる血管にカテーテルとよばれる管を挿入し、それを使って造影剤を血管に流し入れながら連続してエックス線撮影を行ないます。すると、血管(正確には血管の内腔)の形態や血流の状態を知ることができます。臓器へ流入する動脈に対して血管造影をすることで、その臓器・組織の血行動態を知ることができます。
血管造影の手法を応用し、検査だけでなく治療も行います。たとえば、狭窄した血管を広げてステントというデバイスを留置し血行状態を改善したり、腫瘍の血流を抑えて局所的に薬剤を投与したり、体内の出血に対して出血源となる血管をつめる、さらには動脈瘤をプラチナ製のコイルで塞栓するなどさまざまな治療を行っています。
検査は、熟練した循環器医師、脳血管内治療医師、放射線科医師など各科医師及び看護師、臨床検査技師、診療放射線技師らによって行なわれています。それぞれが、専門の知識・技術を生かし互いに連携して検査・治療にあたります。
検査前について疑問に思うことなどありましたら、遠慮なくスタッフにお尋ねください。

2. 血管造影の実際

2-a. 脳血管造影

術前 側面像
術後 側面像

この検査の対象となる疾患は、主に、脳動脈瘤、脳動静脈奇形、脳梗塞、脳腫瘍、頸動脈狭窄症などの評価や治療が目的となります。
この部位では、頭蓋骨の陰影と造影された血管の陰影が重なり、よく見えないことが多いので、はじめに造影剤を注入する前に撮影を行ない、造影剤を注入し始めてからの像に対してマスクとします。すると、骨の陰影が除去された造影血管だけの画像を得ることができます。
写真は、内頚動脈瘤の症例の術前と術後の側面画像で、矢印の箇所にあった動脈瘤が術後の側面画像では造影されなくなり無くなっていることがわかります。

2-b. 腹部血管造影

ひとことで“腹部”といっても、ここにはたくさんの臓器があります。肝臓、膵臓、脾臓、腎臓、膀胱、子宮や大動脈をはじめとする大血管などがあります。
写真は、総肝動脈といって、肝臓・胃などを栄養する血管を造影したものですで肝細胞癌に対して治療が行われたときの画像となります。

2-c. 心臓カテーテル検査

心臓を栄養する血管は、冠状動脈と呼ばれています。この血管は大動脈の付け根から左右にでていて、心臓を冠のように取り囲んでいることからその名前がついたようです。
この血管の血行が悪くなると、当然心臓に血液が十分に行き渡らなくなります。これが“狭心症”とよばれる病気です。この状態がひどくなる(※突然発症することもあります)と“心筋梗塞”という病気になります。

動脈にカテーテルとよばれる管を通してその先端を冠状動脈まで到達させ、造影剤を送り込みます。そうすることでこの血管の状態、つまり心臓の血行状態を知ることができます。
また必要があれば、この方法を応用し、冠状動脈の血流を回復させることも行ないます。下の写真は、風船を使って、治療を行なっている様子を示しています。

経皮経管敵血管拡張術(左冠状動脈)

治療前

血管の先端(中央、やや下側)が、途切れているのがわかります。この部分で血管が閉塞を起こしています。

治療中

問題となる部分に、風船(直径数mmのものです)を送り込み、そこで膨らましています。(この写真では、血管自体は造影していないので見えません)

治療後

治療前では、見えなかった血管が見えるようになりました。つまり、閉塞していた血管が開通したことになります。

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