かめだPOST 大腸ポリープ切除(コールドポリペクトミー)をお受けになる患者さまへ

検査の概要

コールドポリペクトミーとは大腸内視鏡検査で発見された直径10mm未満の比較的小さな大腸ポリープを内視鏡的に切除する治療方法です。コールドポリペクトミーはスネア(いわゆる電気メス)に通電せず、専用の処置具でそのまま切除します。切除したポリープは顕微鏡検査を行い約1週間~2週間程度で結果が判定されます。

コールドポリペクトミーには2つの方法があります。

専用の処置具でポリープをつまんで切除する方法(図1-Ⅰ)と、スネアと呼ばれる直径10mm程度の金属の輪(図1-Ⅱ)をポリープにあて、輪を閉めながら切除する方法があります。

図1-I.専用の鉗子でポリープをつまんで摘除する方法
図1-II.スネアで通電せず摘除する方法

スネアでの切除

10mm以上の大きさのポリープや10mm未満であっても悪性を疑われる場合などはスネアに通電して焼いて切除する方が適していると言われています。通電によって広い範囲を切除できますが、熱凝固によって腸管の深い層まで影響が及びやすく術後も注意が必要となります。
コールドポリペクトミーは腸管表面の浅い層を通電せずに切るため一時的に出血はしますが、浅い傷口で済むため術後の出血や穿孔が少ないとされています。それぞれの方法の特徴を考えながら適切な切除方法を選択していきます。

治療前の注意事項

治療前日の注意事項

  • 検査食セットや下剤を処方されている方は指示の通りにお願いします。普段から便秘気味の方は検査2~3日前からの下剤内服をお勧めします。外来担当医師へご相談ください。
  • 通常食の方は20時までに消化の良い物をおとり下さい。

検査当日の注意事項

  • 朝食はとらずに、絶食でお願いします。水分(お水、お茶)の制限はありません。
  • 内服薬については主治医とご相談(特に心臓病、高血圧、糖尿病の治療中の方)のうえ、服用が必要な薬は朝7時までに服用してください。
  • 大腸ポリープ切除は出血の危険を伴います。血液をさらさらにする薬(抗凝固薬・抗血栓薬等)を服用中の方は必ず事前に医師へ服用の確認をしてください。
  • ペースメーカ、ICD(植込み型除細動器)のある方は手帳をお持ちください。
  • 検査開始時刻は排便状況や検査の進行具合により調整いたします。検査終了が夕刻となる場合や、お待たせする事もございますのでご了承ください。本やPCなどをお持ちください。
  • 問診票や同意書は事前にご記入のうえ当日ご持参ください。

大腸ポリープ切除の予約時間について

予約票に印字された予約時間は来院時刻で検査開始の時刻ではありません。来院後に下剤の飲用を開始し腸管がきれいになった患者さまから検査開始いたします。

治療の流れ

  • 問診票を確認いたします。検査履歴や病歴、内服薬や薬剤アレルギー等です。使用する薬剤の禁忌も確認します。
  • 腸管内をきれいにする下剤(ニフレック)を2Lお飲みいただきます。飲用方法は担当者からご説明させていただきます。通常は下剤飲用から腸管内がきれいになるまで3時間程度かかります。きれいになりづらい方は下剤の追加や浣腸をお願いする場合があります。
  • 腸管内がきれいになりましたら検査着、検査用パンツへお着がえいただきます。
  • 鎮痙剤(腸の動きを抑える)注射のための注射針を腕に留置します。
  • 検査室に入室し診察台に左横向きの体位で寝ていただき鎮痙剤を注射します。ご希望の方には鎮静剤、鎮痛剤を注射します。
  • スコープを肛門から挿入します。腸の屈曲が強い箇所や伸びやすい箇所では違和感や痛みが出ることがありますが、体位変換や、腹部用手圧迫などを行いながら患者さまへの負担が少なくなるように慎重に挿入していきます。
  • 指摘されたポリープを発見後、切除を開始します。治療時間はポリープの数によって異なりますが、挿入や観察の時間も必要になりますのでポリープの少ない方でも20分から30分程度は必要となります。

大腸ポリープ切除を受けるコツ

腹部の力を抜いて、リラックスした姿勢でお受けください。ポリープ切除は痛みを感じませんが、スコープの挿入時には検査の時と同様に違和感や痛みが出やすい箇所があります。ゆっくり呼吸をして力を抜くようにしましょう。観察時には腸管内に炭酸ガスを入れ、腸のひだを伸ばすことでより精度の高い観察が可能になりますが、その分お腹が張ってきます。ガスは腸管に吸収され、また、おならとして排出することでも張りが解消されます。また、治療中は会話が可能ですので痛みなどありましたらいつでもお声掛けください。

鎮静剤・鎮痛剤の使用について

鎮静剤、鎮痛剤注射は、治療時の苦痛を和らげ、リラックスした状態で比較的楽に検査を受ける事ができます(完全に意識がなくなるわけではありません)。治療後は回復室のベッドでお休みいただき、体調の回復を確認後に退室となります。
当院では患者さまのご希望を確認し、医師の判断で使用することが可能です。

回復室(リカバリー室)のリクライニングチェアーやベッド

鎮静剤・鎮痛剤の使用時の注意点について

鎮静剤・鎮痛剤の副作用には眠気やふらつき、吐き気、呼吸抑制などがあり、また、判断力、注意力、運動能力を低下させます。当院では鎮静剤・鎮痛剤を使用された方には事故防止の観点から、ご本人による自動車、バイク、自転車等の運転を翌朝まで(夜間使用時は最低でも12時間)禁止としております。鎮静剤・鎮痛剤をご希望の方は公共交通機関、または運転のできるお付き添いの方とご来院ください。

検査後の注意事項

出血予防

1週間程度は出血予防のため、激しい運動や飲酒を避け、入浴はシャワー浴程度としてください。
当日のお食事はおかゆやうどんのような消化のよいものをおとりください。翌日以降は特に制限はありません。

ご帰宅時の注意

鎮静剤を使用していなくても鎮痙剤(胃腸の動きを抑える薬)や空腹などにより、眠気やめまい、目の焦点が合わないなどの症状が出ることがありますので、安静時間をとり症状を確認してください(通常1~2時間程度)。症状がある間は運転や危険を伴う作業はお控えください。

術後の出血について

コールドポリペクトミーはポリープ切除後の出血が少ない比較的安全な切除方法と言われています。出血した場合でも傷口からじわじわと出ることがほとんどで自然に止血されるため、出血量も少なく排便時に色の薄い血液が少量確認される程度です。その場合は経過観察として様子をみていただければ大丈夫です。
ただし、少量だが2~3日出血が持続している、便器が真っ赤になるほどの出血がある、または判断が難しいなど、お困りの際は亀田総合病院救命救急センターへご連絡ください。必要に応じ下剤を飲用し内視鏡にて観察、止血処置を行います。
出血があると心配になりますが、出血があった場合でも慌てる必要はありません。じわじわと少量の出血でもすぐに止血されず半日、1日と持続すると腸管内に血液が溜まっていきます。溜まった血液が排便によって一度に排出されることにより出血量が多く見えますが、実際の傷口は浅く小さいものですので内視鏡で十分対応が可能です。
ご来院の際に出血が持続している場合には急な便意を感じることがありますので、ご自身では運転せずお付き添いの方と一緒にご来院いただくと安心です。

止血が必要、または判断が難しい場合の連絡はこちらまで

亀田総合病院 救命救急センター
TEL 04-7092-2211(代表)へご連絡ください。救命救急センターへお取次ぎいたします。

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