注目論文:ICI治療中の活動性結核発症―高結核負担地域889例の実臨床データ

呼吸器内科
免疫チェックポイント阻害薬(ICI)治療中のがん患者では、活動性結核はどの程度発症するのでしょうか。本研究は、高結核負担地域の単施設でICI治療を受けた連続889例を後ろ向きに解析した研究です。中央値19か月の追跡で44例が活動性結核を発症し、発生率は2693/10万人年でした。発症までの中央値は7.1か月で、肺がんは独立したリスク因子とされました。中国一般人口の結核発生率55/10万人と比べて高い値でしたが、本研究のみからICIとの因果関係は確立できません。同様の臨床環境では、結核スクリーニングや治療中のモニタリングを検討する必要性を示唆する結果です。

Immune checkpoint inhibitors in cancer patients with concurrent active tuberculosis: A real-world study in a high tuberculosis burden region
活動性結核を合併するがん患者における免疫チェックポイント阻害薬:高結核負担地域におけるリアルワールド研究
Xunqi Liu, Yuan Cai, Ling Shao, Hu Liu, Jianghong An
Open Forum Infect Dis, 2026, ofag517.
https://doi.org/10.1093/ofid/ofag517
背景:
本研究は、免疫チェックポイント阻害薬(ICI)で治療されたがん患者における活動性結核の発生率と臨床的特徴を評価し、結核流行地域におけるICIの適切な使用戦略に資することを目的としました。

研究デザイン:
2018年1月1日から2024年12月31日までにShenzhen Third People’s Hospitalで1サイクル以上のICI治療を受けた連続889例のがん患者を対象とした後ろ向き解析です。ICI開始後に活動性結核を発症した患者を同定し、人口統計学的情報、腫瘍の種類、ICIレジメン、既往歴、BMI、結核の発症時期および罹患部位を系統的に評価しました。

結果:
889例の追跡期間中央値は19か月(IQR 9.7–32か月)で、総追跡期間は1634.1人年でした。44例が活動性結核を発症し、発生率は2693/10万人年(95%CI 1956–3607)でした。追跡中に169例が死亡し、20例が追跡不能となり、いずれも最終確認時点で打ち切りとして扱われました。活動性結核を発症した患者は全例男性で、年齢中央値61歳、BMI中央値18.1 kg/m²でした。肺がんはICI関連活動性結核の独立したリスク因子でした。ICI開始から活動性結核発症までの中央値は7.1か月で、結核診断前に受けたICI治療は中央値5サイクルでした。

結論:
高結核負担地域における単施設後ろ向きコホートでは、ICI治療を受けたがん患者の活動性結核発生率は2693/10万人年で、中国一般人口の発生率55/10万人より高い値でした。ただし、この観察結果からICIと結核発症との因果関係を確立することはできません。同様の臨床環境では、結核スクリーニングおよびモニタリングの実施を検討する必要性が示唆されます。ICI治療に起因する結核リスクを確認するには、前向き対照研究が必要です。