注目論文:インフルエンザ入院高齢者のワクチン接種と院内死亡―欧州I-MOVE研究

呼吸器内科
インフルエンザワクチンは入院を減らしますが、すでにインフルエンザで入院した高齢者におけるICU入室や院内死亡との関連は明確ではありません。本研究は、欧州I-MOVE hospital networkで検査確定インフルエンザにより入院した65歳以上4,257例を対象とした後ろ向きコホート研究です。ワクチン接種とICU入室との関連は小さく不確実でしたが、院内死亡については調整後の相対リスク減少26%(95% CI 3–43%)と関連しました。観察研究であるため因果関係は断定できませんが、入院後の致死的転帰という観点からもワクチン接種の意義を検討したデータです。

Association between influenza vaccination and severe outcomes in adults aged ≥ 65 years hospitalized with laboratory-confirmed influenza: a retrospective cohort study, I-MOVE hospital network, Europe, 2015/16-2024/25

検査確定インフルエンザで入院した65歳以上の成人におけるインフルエンザワクチン接種と重症転帰との関連:欧州I-MOVE hospital network、2015/16–2024/25の後ろ向きコホート研究

Marques DFP, Rose AMC, Monge S, Martínez-Baz I, Reynders M, Duffy R, Marbus SD, Bino S, Husa P, Dürrwald R, Luong Nguyen LB, Petrović G, Oroszi B, Bella A, Kuliese M, Abela S, Paradowska-Stankiewicz I, Machado A, Popovici O, Robertson C, Pozo F, Lameiras Azevedo AS, Trobajo-Sanmartín C, Parys A, Domegan L, van Gageldonk-Lafeber AB, Součková L, Tolksdorf K, Launay O, Višekruna Vučina V, Túri G, Riccardo F, Jančorienė L, Cauchi JP, Gómez V, Lazar M, McMenamin J, Nunes B.

Expert Rev Vaccines, 2026, 25(1), 2722420.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42657682/
背景

高齢者では、インフルエンザに伴うICU入室および院内死亡のリスクが高くなります。インフルエンザワクチンは入院を減少させますが、これらの重症転帰に対する影響は明確ではありません。本研究では、検査でインフルエンザが確認され入院した65歳以上の成人において、インフルエンザワクチン接種とICU入室および院内死亡との関連を推定しました。

研究デザイン

欧州I-MOVE hospital networkの2015/16シーズンから2024/25シーズンまでのデータを用いた後ろ向きコホート研究です。ワクチン接種は、症状発現14日以上前にワクチンを接種していた場合と定義しました。

潜在的交絡因子を調整したPoisson回帰を用いて、複数シーズンを統合した調整リスク比を推定しました。相対リスク減少(RRR)は(1−調整リスク比)×100として算出し、全体および65–79歳、80歳以上の年齢群別に評価しました。

結果

除外後、5施設、6シーズンから4,257例が解析対象となりました。ICU入室はワクチン接種者の3%、非接種者の5%に認められました。院内死亡は両群とも5%でした。

ICU入室に対するRRRは全体で11%(95% CI −21–34%)でした。年齢別では65–79歳で−4%、80歳以上で44%でした。

院内死亡に対するRRRは全体で26%(95% CI 3–43%)でした。年齢別では65–79歳で17%、80歳以上で29%でした。

結論

インフルエンザワクチン接種はICU入室とはほとんど、または全く関連を示さなかった一方、入院した高齢者における院内死亡の約4分の1の減少と関連していました。