注目論文:小児肺炎における身体診察所見の検者間信頼性

呼吸器内科
小児CAPでは、外来治療可能な患者の診断に画像検査ではなく身体診察所見を用いることが推奨されていますが、その所見が診察者間でどの程度再現されるかは重要な問題です。本研究は、米国7施設の小児救急部でCAPと診断された3か月~17歳の252例を対象とした前向きコホート研究の解析です。2人の診察者による身体所見の一致度を評価したところ、事前に設定した信頼性基準を満たす所見はありませんでした。喘鳴と陥没呼吸が比較的高い一致度を示したものの、呼吸音低下、crackles、rhonchiなど個々の聴診所見を単独で診断に用いるには十分な信頼性を示しませんでした。

Reliability of Physical Examination Findings in Youths Diagnosed With Pneumonia

肺炎と診断された小児・青少年における身体診察所見の信頼性

Hooli S, Reeder R, Cutler L, Sartori LF, Capraro G, Cheng AY, Cator A, Lipshaw MJ, Ambroggio L, Rees CA, McLaren SH, Moher J, Tzimenatos L, Walsh PS, Larsen CD, Ruddy RM, Shah SS, Kuppermann N, Florin TA; Pediatric Emergency Care Applied Research Network (PECARN) PedCAPS Investigators.

JAMA Netw Open, 2026, 9(8), e2630074.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42623068/
背景

市中肺炎(CAP)は、米国で年間約200万件の小児外来受診と37万5000件の救急部受診の原因となっています。ガイドラインでは、外来治療が可能な小児・青少年のCAP診断について、画像検査ではなく身体診察所見に基づくことが推奨されています。本研究では、救急部でCAPと診断された小児・青少年における身体診察所見の検者間信頼性を評価することを目的としました。

研究デザイン

進行中の前向きコホート研究であるpediatric CAP severity(PedCAPS)の事前計画解析です。2023年8月1日から2025年5月24日まで、米国7施設の大学小児救急部において、CAPと診断された3か月~17歳の小児・青少年を登録しました。対象者は下気道感染症の徴候を有し、48時間以内に発熱があり、胸部X線検査を実施した場合には肺炎像を認めることを条件としました。

喘息を除く慢性肺疾患、鎌状赤血球症、免疫不全、心疾患、呼吸に影響する神経疾患、誤嚥性肺炎を有する患者、および過去30日以内の入院歴がある患者、他の救急部または病院から転送された患者は除外しました。

2人の診察者が同一患者を60分以内に診察し、それぞれ独立して身体診察所見を記録しました。検者間信頼性はraw agreementとFleiss κで評価し、κの95%信頼区間の下限が0.4であることを許容可能な信頼性の基準としました。

結果

身体診察を2人の診察者から受けた252例が解析対象となりました。年齢中央値は5.7歳(IQR 3.4–8.8)で、女性は127例(50.4%)でした。最も多い併存疾患は喘息で、56例(22.2%)に認められました。

全体集団では、事前に定義された検者間信頼性の基準を満たす身体診察所見はありませんでした。最も高い検者間信頼性を示したのは喘鳴で、κ=0.50(95% CI 0.39–0.62)、次いで陥没呼吸でκ=0.49(95% CI 0.37–0.60)でした。

自宅へ退院した124例と入院した128例を対象としたサブ解析でも、身体診察所見の検者間信頼性は両群で同様でした。

結論

呼吸音低下、crackles、rhonchiなど個々の聴診所見は、単独で診断に使用するには十分な信頼性を示しませんでした。