注目論文:PAPを使用できないOSAに対するAD109の第3相試験

呼吸器内科
PAP療法を継続できない閉塞性睡眠時無呼吸患者に、経口薬は代替治療となり得るのでしょうか。SynAIRgy試験は、PAPに不耐容または使用を拒否した軽症~重症OSA成人646例を対象とした26週間の第3相無作為化比較試験です。AD109はプラセボと比較してAHI、酸素飽和度低下指数、低酸素負荷を改善しましたが、疲労スコアには有意差を認めませんでした。一方、有害事象による治療中止はAD109群で21.2%と高く、有効性だけでなく忍容性を含めた評価が必要です。

Aroxybutynin and atomoxetine (AD109) for obstructive sleep apnea: a randomized phase 3 trial (SynAIRgy)
閉塞性睡眠時無呼吸に対するアロキシブチニン・アトモキセチン配合薬AD109:無作為化第3相試験SynAIRgy
Strollo PJ Jr, Farkas R, Taranto-Montemurro L, Cronin J, Patel SR; SynAIRgy Investigators.
Am J Respir Crit Care Med, 2026, 212(7), 1569-1584.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42148495/
背景:
閉塞性睡眠時無呼吸患者の多くは、長期間の陽圧呼吸療法に耐えられず、代替治療が必要とされています。AD109は、アロキシブチニン2.5 mgとアトモキセチン75 mgを含む開発中の固定用量経口配合薬であり、OSAにおける神経筋機能障害を標的として設計されました。本研究は、PAPを使用できない多様なOSA患者において、AD109の6カ月間の有効性と安全性を評価することを目的としました。

研究デザイン:
SynAIRgy試験は、PAP療法に不耐容または使用を拒否した軽症~重症OSA成人を対象に、69施設で実施された無作為化二重盲検プラセボ対照26週間並行群間第3相試験です。参加者をAD109群またはプラセボ群に割り付けました。主要有効性評価項目は、ベースラインから26週までの無呼吸低呼吸指数の変化でした。主要な副次評価項目は、酸素飽和度低下指数、PROMIS-Fatigue Tスコア、低酸素負荷、PROMIS-Sleep Impairment Tスコア、AHIが50%以上低下した参加者の割合でした。

結果:
適格参加者646例が無作為化されました。年齢中央値は58歳、女性は49.3%、BMI中央値は32.4 kg/m²でした。ベースラインのAHI中央値は19.6回/時で、軽症35%、中等症42%、重症23%でした。

26週時点のAHIの平均群間差は−4.0回/時で、95%信頼区間は−6.4~−1.6、P=0.001でした。モデル推定によるベースラインからのAHI低下率は、AD109群44.1%、プラセボ群17.6%で、P<0.0001でした。AD109群では、プラセボ群と比較して26週時点の酸素飽和度低下指数および低酸素負荷も改善しました。一方、PROMIS-Fatigueでは統計学的に有意な群間差を認めませんでした。

有害事象による治療中止は、AD109群で21.2%、プラセボ群で3.1%でした。AD109群で最も多かった有害事象は、口腔乾燥、悪心、不眠、排尿困難でした。治療に関連した重篤な有害事象は認めませんでした。

結論:
AD109は、PAPを使用できない幅広いOSA患者において、26週時点の上気道閉塞と酸素化を有意に改善しました。これらの結果から、AD109はOSA患者に対する将来的な治療選択肢となる可能性があります。