注目論文:次世代抗IL-4Rα抗体ラデミキバルトによる喘息治療における好酸球数の推移

呼吸器内科
抗IL-4Rα抗体(デュピルマブなど)の導入初期には一過性の好酸球増多をしばしば経験し、臨床現場で対応に悩むことがあります。本論文は、次世代抗IL-4Rα抗体であるラデミキバルトの第2b相試験の探索的解析ですが、興味深いことに同薬では好酸球増多というクラスエフェクトが明確には認められず、むしろ減少傾向すら示されました。なぜ本薬で好酸球が上昇しにくいのか機序の解明が待たれますが、もし第3相試験でもこの結果が再現されれば、実臨床における好酸球数モニタリングの負担軽減や、導入時の好酸球増多リスクを懸念する症例への有力な選択肢となる可能性を秘めた興味深い報告です。

Eosinophil Counts in Adults with Asthma Treated with Anti-IL-4Rα Rademikibart: Exploratory Analyses in a Randomized Trial
抗IL-4Rα抗体ラデミキバルトで治療された成人喘息患者における好酸球数:ランダム化試験における探索的解析
Wechsler M, Quart B, Collazo R.
CHEST, 2026; 0
https://journal.chestnet.org/article/S0012-3692(26)00563-5/fulltext
背景:
第3相試験において、IL-4Rα阻害により好酸球数が増加することが示されています。次世代IL-4Rα阻害薬であるラデミキバルト(rademikibart)は、コントロール不良の中等症から重症の成人喘息患者を対象としたCBP-201-WW002第2b相試験において、肺機能の迅速な改善をもたらし、それは24週間の治療期間にわたって維持されました。

研究デザイン:
過好酸球増多症がクラスエフェクト(IL-4Rα阻害薬共通の作用)であるかどうかを調査するため、ラデミキバルト治療中の好酸球数を解析しました。過去の抗IL-4Rα療法の第3相試験と同様に、スクリーニング時に好酸球数が1500 /μLを超える患者は、このラデミキバルトの第2b相試験から除外されました。プラセボ、またはラデミキバルト150 mgあるいは300 mgを2週ごとに投与(600 mgの初回負荷投与後)する群にランダム化された322名の患者において、血中好酸球数を解析しました。本試験は24週間の治療期間と8週間の追跡期間で構成されました。

結果:
ラデミキバルト150 mg群、300 mg群、およびプラセボ群において、平均好酸球数(ベースライン時それぞれ268、320、299 /μL)は、第12週にそれぞれ-8、-25、2 /μL変化し、第24週には-30、-97、-23 /μL変化しました。ベースライン時に500 /μL以上の患者を対象とした事後解析では、1500 /μLを超えたのはラデミキバルト投与患者の10.0%(3名)に対し、プラセボ群では18.8%(3名)でした。ベースライン時に500 /μL未満の患者において、1500 /μLを超えたのはラデミキバルト投与患者の1.1%(2名)に対し、プラセボ群では1.1%(1名)でした。1名の患者が治療終了後の追跡期間中(ラデミキバルト150 mg群)に3000 /μLを超えました。2名の患者(ラデミキバルト300 mg群)が、「好酸球数増加」(2名)および「好酸球パーセンテージ増加」(1名)という非重篤なグレード1の治療発現有害事象(TEAE)を経験しました。各治療群において、感染症または心血管系のTEAEに明らかな違いは生じませんでした。

結論:
大規模な検証的解析が必要ではあるものの、今回の探索的解析はラデミキバルトによる治療が過好酸球増多症を引き起こさない可能性を示唆しています。