注目論文:本邦におけるJN.1対応新型コロナワクチンの発症・入院予防効果

呼吸器内科
私が研究分担医師として参加している国内の多施設共同研究(VERSUS)からの最新の報告です。2024年秋から2025年春のKP.3やXEC変異株流行期において、JN.1対応ワクチンの有効性(VE)を検証しました。結果として、60歳以上の高齢者における新型コロナ入院に対する有効性は約62%と、良好な重症化予防効果が実世界データで確認されました。ウイルスの変異が続く中でも、定期的なアップデートによるワクチン接種が肺炎などの重症化を確実に防ぐことを示しており、今後の予防接種政策や日常診療において高齢者への接種を強く推奨するための重要なエビデンスとなります。
Effectiveness of JN.1-adapted COVID-19 vaccine against medically attended SARS-CoV-2 infection and COVID-19 hospitalization in adults in Japan, from October 2024 to April 2025: VERSUS
2024年10月から2025年4月における日本の成人におけるJN.1対応新型コロナワクチンのSARS-CoV-2感染発症およびCOVID-19入院に対する有効性:VERSUS
Haruka Maeda, Nobuo Saito, Ataru Igarashi, Masayuki Ishida, Mayumi Terada, Motoi Suzuki, Konosuke Morimoto, 他
Vaccine, 2026, 80, 128544
https://doi.org/10.1016/j.vaccine.2026.128544
背景:
SARS-CoV-2の進化が続く中、COVID-19ワクチンの有効性(VE)を評価することはワクチン政策の指針として不可欠です。本研究では、日本の成人における、受診を要する症候性SARS-CoV-2感染およびCOVID-19による入院に対するJN.1対応COVID-19ワクチン(JN.1ワクチン)の有効性を評価しました。

研究デザイン:
2024年10月1日から2025年4月30日にかけて、日本国内で多施設共同のテストネガティブ・ケースコントロール研究を実施しました。急性呼吸器疾患の徴候または症状を1つ以上有する18歳以上の成人を症候性感染の解析に含め、急性呼吸器疾患の徴候や症状を2つ以上有する、および/または画像診断で肺炎が確認されて入院した60歳以上の成人を入院の解析に含めました。混合効果ロジスティック回帰モデルを用い、過去のCOVID-19ワクチン接種歴にかかわらず、JN.1ワクチンの接種者と未接種者を比較してVEを推定しました。

結果:
5413エピソードにおいて、症候性感染に対するJN.1ワクチンのVEは、接種後7日以上で55.1%(95%信頼区間[CI]:35.0-69.0)、7-60日で52.7%、60日超で57.6%でした。年齢別では18-64歳の成人で61.0%、65歳以上で44.3%でした。また1106件の入院エピソードにおいて、60歳以上の成人におけるCOVID-19入院に対するVEは、接種後7日以上で61.8%(95% CI:21.5-81.4)でした。より重症な病態に対するVEも同様であり、呼吸不全を伴う入院に対し60.1%、CURB-65スコアで定義される中等症から重症の入院に対し55.7%、画像診断で確認された肺炎を伴う入院に対し66.4%でした。

結論:
JN.1ワクチンは、KP.3およびXEC変異株の流行期において、日本の成人における軽症および重症アウトカムの両方に対して追加の予防効果を提供しました。これらの知見は、疾病負担を軽減するために、成人、特に高齢者への継続的なワクチン接種を支持するものです。