注目論文:免疫チェックポイント阻害薬(ICI)治療中のワクチン接種は安全か?

呼吸器内科
私が編集委員を務める Human Vaccines & Immunotherapeutics 誌からの報告です。日常診療において、ICI投与中の肺癌患者さん等へのワクチン接種(インフルエンザやCOVID-19)は、免疫関連有害事象(irAE)の誘発や悪化が懸念されるという仮説がありました。しかし、本レビューは既存の文献を総括し、それらのワクチンがICI治療患者において安全であることを裏付けています。感染症はがん患者の予後を左右する重大な因子ですので、過度な懸念により予防接種の機会を逸しないよう、我々臨床医の背中を押してくれる重要なエビデンスです。
[Vaccine safety for individuals receiving immune checkpoint inhibitor therapy: A narrative review of current literature and recommendations for future research] 免疫チェックポイント阻害薬療法を受けている個人におけるワクチンの安全性:現在の文献のナラティブレビューおよび今後の研究への推奨事項 Sundaram ME. Hum Vaccin Immunother. 2026 Dec;22(1):2607893.
背景:
免疫チェックポイント阻害薬(ICI)は多くのがんの標準治療の一部となり生存率を改善していますが、軽度から重度に至る免疫関連有害事象(irAE)に関連しています。ICI投与中の患者へのワクチン接種が、免疫系を刺激することでirAEのリスクやその他のワクチン関連有害事象を増加させるのではないかという仮説が存在していました。

研究デザイン:
ICI投与中の個人におけるワクチンの安全性に関する既存の文献(28の主要な研究論文)からの知見を提示し、このトピックに関する将来の研究への推奨を行うナラティブレビューです。

結果:
既存のエビデンスは、インフルエンザおよびCOVID-19ワクチンがICI投与中の個人にとって安全であることを示唆しています。これらのワクチン接種が、ICI療法に伴うベースラインのリスクを超えて、irAEのリスクを追加的に高めることはありませんでした。

結論:
ICI治療中の患者に対するインフルエンザおよびCOVID-19ワクチンの接種は安全であり、irAEリスクの増大を懸念して接種を避けるべきではありません。