注目論文:欧州高齢者IPDにおける次世代ワクチンPCV21とPCV20のカバー率比較

呼吸器内科
現在、本邦でもPCV20(プレベナー20)が成人肺炎球菌ワクチンの主役となりつつありますが、世界では既に「成人特化型」のPCV21(Capvaxive)の有効性が示され始めています。PCV21は小児で一般的な血清型を一部除き、成人で頻度の高い血清型にターゲットを絞ったユニークな組成です。本研究では欧州15カ国のデータで、2014年以降PCV21のカバー率がPCV20を逆転し、2023年にはその差が14%に拡大したと報告されています。これは「小児と同じワクチンを成人に使う」時代から「成人に最適なワクチンを選ぶ」時代への転換点を示唆しており、今後のワクチン政策に一石を投じる重要なデータです。
Serotype-specific incidence and comparative vaccine coverage of invasive pneumococcal disease among adults ≥65 years of age in European countries from 2011 to 2023 2011年から2023年までの欧州諸国の65歳以上成人における侵襲性肺炎球菌感染症の血清型別発生率とワクチンカバー率の比較 Floros L, Johnson KD, Tsoumani E. Vaccine. 2026 Jan 20;75:128181.
背景: 欧州の65歳以上の成人において、侵襲性肺炎球菌感染症(IPD)は臨床的および経済的に大きな負担となっている。小児および成人への肺炎球菌結合型ワクチン(PCV)導入に伴い、IPDの原因となる細菌血清型の分布は変化しており、これに対応した新たな多価ワクチンの開発が必要とされている。

研究デザイン: 2011年から2023年までの欧州15カ国における年齢別および血清型別のIPD発生データを、政府のサーベイランス報告書および査読付き論文から抽出し統合した。65歳以上の成人IPD症例におけるPCV21(21価)とPCV20(20価)でカバー可能な割合とその経時的傾向を比較検討した。

結果: 65歳以上の成人におけるIPDの連続的な血清型別データが利用可能な15カ国において、PCV21でカバー可能なIPD症例の割合は期間中に増加した。2014年以降、この割合はPCV20でカバー可能な割合を上回り、2023年までには血清型カバー率において全体で14.0%の差が生じた。これらの傾向は、他の7カ国と比較して2011年から2019年のIPD発生率が著しく高かった8カ国によって主に牽引されていた。

結論: 多くの欧州諸国において、現在65歳以上の成人のIPD症例の原因としては、PCV20がターゲットとする血清型よりもPCV21がターゲットとする血清型の方が多くなっている。成人肺炎球菌ワクチン接種プログラムにPCV21を導入することは、このハイリスク年齢層におけるIPDの臨床的・経済的負担の軽減に寄与する可能性がある。