注目論文:新規21価肺炎球菌ワクチン(PNEU-C-21)の費用対効果と優位性

呼吸器内科
肺炎球菌ワクチンの開発競争は新たなフェーズに入っています。PCV21(CAPVAXIVE®)は、小児で流行する血清型ではなく「成人の侵襲性感染や肺炎の原因となる血清型」に特化して構成されているワクチンです。本研究はカナダのデータですが、PCV20やPPSV23と比較して、臨床効果が高くかつ医療費も抑制できる(dominant)という結果は極めてインパクトがあります。
Cost-effectiveness analysis of the use of PNEU-C-21 in adults aged ≥50 years in Canada カナダの50歳以上成人におけるPNEU-C-21使用の費用対効果分析 Mueller PP, Meilleur MC, Yi Z, Martino A, Owusu-Edusei K. Expert Rev Vaccines. 2026 Dec;25(1):2608811.
背景: 本研究では、21価肺炎球菌結合型ワクチン(PNEU-C-21; CAPVAXIVE®)の健康および経済的転帰を、PNEU-C-20(20価)またはPNEU-P-23(23価)と比較分析しました。費用対効果分析の対象コホートには、ワクチン未接種の57歳および65歳、およびワクチン接種歴のある70歳が含まれました。

研究デザイン: 既報のマルコフモデルを用いて、カナダの人口における4つの健康状態(健康、肺炎球菌性疾患[侵襲性肺炎球菌感染症および肺炎球菌性市中肺炎]、髄膜炎後遺症、死亡)の推移をシミュレーションしました。モデルには、人口統計、疫学データ、血清型分布、ワクチン有効性、コスト、健康関連効用値などのデータを入力しました。生涯期間(lifetime horizon)を使用し、コストと生存年数は1.5%の割引率を適用しました。主要評価項目は、症例数、死亡数、コスト、および増分費用効果比(ICER)でした。

結果: PNEU-C-21戦略は、PNEU-C-20またはPNEU-P-23戦略と比較して、症例数および死亡数を大幅に予防しました。ワクチン未接種の両コホートにおいて、PNEU-C-21はPNEU-C-20およびPNEU-P-23に対してICERが「優越(dominant:効果が高くコストが低い)」していました。また、以前にPNEU-P-23を接種した70歳成人においても、PNEU-C-21はPNEU-C-20に対して優越していました。

結論: これらの結果は、カナダにおいてPNEU-C-21が幅広い入力値やシナリオにおいて高い費用対効果を維持しながら、相当数の症例と死亡を防ぐことができることを示しています。