注目論文:膿胸に対する胸腔内酵素療法、MIST2プロトコル完全実施は予後を改善する
呼吸器内科
雑性肺炎随伴性胸水や膿胸に対する胸腔内酵素療法(IET)はMIST2試験以降、海外ではtPAとDNaseの併用が標準的ですが、実臨床では「1日2回投与」の厳格な実施が業務フロー上困難なケースも少なくありません。本研究は、完全なMIST2プロトコルの実施率がわずか5.7%という実態と、プロトコル順守が治療強化(手術等)の回避や在院日数短縮に有意に関連することを示しました。
Use of and outcomes related to intrapleural enzyme therapy for complicated parapneumonic effusion and empyema in an integrated health system 統合医療システムにおける複雑性肺炎随伴性胸水および膿胸に対する胸腔内酵素療法の使用とその転帰 Solbes E, Thai KK, Kipnis P, Daly KA, Sakoda LC, Velotta JB, Liu VX, Myers LC. Chest. 2025 Dec 10:S0012-3692(25)05825-8.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41386458/
背景: 臨床試験(MIST2)において、胸腔内酵素療法(IET)の1日2回・3日間の投与は、胸膜感染症患者の転帰を改善することが示されています。しかし、多くの病院では、このスケジュール通りにIETを投与することが困難な場合があります。
研究デザイン: Kaiser Permanente Northern Californiaに入院し、抗菌薬、胸腔ドレナージ、および少なくとも1回のIETを受けた複雑性肺炎随伴性胸水または膿胸の成人患者1,730名を対象とした後ろ向きコホート研究を実施しました。主要な曝露因子である「完全なMIST2投与(Full MIST2 dosing)」は、アルテプラーゼ(tPA)10mgとドルナーゼ(DNase)5mgを計6回、かつ各薬剤を24時間以内に2回投与する期間が少なくとも連続2日間あることと定義されました。
結果: 1,751件の入院症例のうち、完全なMIST2投与が行われたのは99件(5.7%)のみでした。施設ごとのMIST2投与実施状況には大きなばらつきが見られました(ICC=0.57)。曝露群と非曝露群の間で、併存疾患や重症度の差は最小限でした。治療の強化(2本目の胸腔ドレーン留置または外科手術)は498件(28.4%)、出血イベントは137件(7.8%)で発生しました。完全なMIST2投与は、治療の強化または出血のリスク低下と有意に関連していました(HR 0.61、95% CI 0.43-0.88、P=0.009)。また、完全なMIST2投与は、在院日数の15%短縮(平均13.4日対11.4日、P=0.003)とも関連していました。
結論: 完全なMIST2投与の実施頻度は低く、施設間で大きなばらつきがありました。予後改善との関連が示唆されたことから、病院は完全なMIST2プロトコルの実施を検討すべきです。
研究デザイン: Kaiser Permanente Northern Californiaに入院し、抗菌薬、胸腔ドレナージ、および少なくとも1回のIETを受けた複雑性肺炎随伴性胸水または膿胸の成人患者1,730名を対象とした後ろ向きコホート研究を実施しました。主要な曝露因子である「完全なMIST2投与(Full MIST2 dosing)」は、アルテプラーゼ(tPA)10mgとドルナーゼ(DNase)5mgを計6回、かつ各薬剤を24時間以内に2回投与する期間が少なくとも連続2日間あることと定義されました。
結果: 1,751件の入院症例のうち、完全なMIST2投与が行われたのは99件(5.7%)のみでした。施設ごとのMIST2投与実施状況には大きなばらつきが見られました(ICC=0.57)。曝露群と非曝露群の間で、併存疾患や重症度の差は最小限でした。治療の強化(2本目の胸腔ドレーン留置または外科手術)は498件(28.4%)、出血イベントは137件(7.8%)で発生しました。完全なMIST2投与は、治療の強化または出血のリスク低下と有意に関連していました(HR 0.61、95% CI 0.43-0.88、P=0.009)。また、完全なMIST2投与は、在院日数の15%短縮(平均13.4日対11.4日、P=0.003)とも関連していました。
結論: 完全なMIST2投与の実施頻度は低く、施設間で大きなばらつきがありました。予後改善との関連が示唆されたことから、病院は完全なMIST2プロトコルの実施を検討すべきです。