注目論文:新生児RSV予防、ニルセビマブ vs 妊婦ワクチン直接比較

呼吸器内科
RSV予防戦略として「母親へのワクチン接種(RSVpreF)」か「乳児への抗体投与(ニルセビマブ)」か、臨床現場でも議論の的でしたが、フランスから注目の直接比較データが出ました。結果はニルセビマブに軍配。母体接種群と比較して、ニルセビマブ投与群では入院リスクが約26%、PICU入室などの重症化リスクが約40%有意に低いという結果でした。母体接種のメリット(出生直後からの防御等)も考慮すべきですが、抗体価の確実な「移行」という不確定要素がない分、直接投与の強みが出た可能性があります。ただし、ニルセビマブは高額であり、費用対効果の議論が必要と考えられます。
Nirsevimab vs RSVpreF Vaccine for Respiratory Syncytial Virus-Related Hospitalization in Newborns
新生児におけるRSV関連入院に対するニルセビマブ対RSVpreFワクチンの比較
Jabagi MJ, Bertrand M, Gabet A, Kolla E, Olié V, Zureik M.
JAMA. 2025 Dec 22. doi: 10.1001/jama.2025.24082.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41428474/
背景: RSVは乳児の入院の主要な原因です。最近導入された2つの予防戦略、すなわち母親へのRSV prefusion Fタンパク(RSVpreF)ワクチン接種による経胎盤的抗体移行と、乳児へのニルセビマブによる受動免疫の相対的な有効性は不明なままでした。

研究デザイン: フランスの国民健康データシステム(French National Health Data System)を用いた集団ベースのコホート研究です。2024年9月1日から12月31日の間にフランス本土で出生した乳児を対象としました。妊娠32〜36週での母親へのRSVpreFワクチン接種と、退院前の乳児へのニルセビマブ投与を比較しました。乳児は、産科退院日、性別、在胎週数、地域で1:1にマッチングされました。

結果: 合計42,560人の乳児(各群21,280人)が解析に含まれました。RSV関連の下気道感染症による入院は、ニルセビマブ群で212例(44.1%)、RSVpreFワクチン群で269例(55.9%)発生しました。RSVpreFワクチン群と比較して、ニルセビマブ群はRSV関連入院のリスクが低いこと(調整ハザード比 [aHR] 0.74 [95% CI, 0.61-0.88])が示されました。さらに、PICU入室(aHR 0.58)、人工呼吸管理(aHR 0.57)、酸素投与(aHR 0.56)などの重症転帰のリスク低下とも関連していました。

結論: 母親へのRSVpreFワクチン接種と比較して、乳児へのニルセビマブ投与は、RSV関連入院および重症転帰のリスク低下と関連していました。これらの知見は、フランス本土でこれらの予防戦略が使用された最初のRSVシーズンの結果を反映しています。